拍手 044 百四十話 「ハリザニール」の辺り
外は、どんなところなんだろう? 姉のネルは何度も里の外へ出ているのに、私はまだ許されない。
「子供は里から出てはいけない」
「一人で出てはならない」
「それが里の掟だ」
大人達は、そう言うばかり。何で私はダメなの? どうして一人で出ちゃいけないの? 誰も答えてくれないのは何故?
だったらいいよ。掟なんて知らない。私は、外の世界を見てみたの!
「という訳でユキア、あなたも一緒に行きましょう!」
私は、里で一番仲のいい幼馴染みのユキアを誘った。彼女も、私と一緒で里の外の世界に興味があるって言っていたから。
なのに、ユキアったらここに来てぐずぐず言い出すんだもの。
「え? ……でも、里の外には、出ちゃダメだって――」
「そんなの! 大人達が勝手に決めた事でしょう!? 誰もどうして出ちゃいけないのか、教えてくれないじゃない!」
「それは、大人になったら教えてくれるって……」
「私達が成人するまで、あと何年あるか知ってる!? まだ十年以上あるのよ? それまで、おとなしく里の中だけで生活しろっていうの!?」
「でも……」
ああ、もう。何なのよ。外の世界よ? こんな里の中みたいに、閉じた場所じゃないのよ? 帰ってくるたび、ネルが教えてくれる外は、刺激に満ちあふれている。そんな場所に、行けるのよ? 尻込みするなんて、間違ってる!
「でもは聞かない! あなたは、私と一緒に里の外に出るの。いいわね? ほら、行きましょう」
「い、今から!?」
「そうよ。このまま家に帰ったら、あなた親に話しちゃいそうだもの。だから……ね?」
知らなかったの。外の世界が、あんなに危険だったなんて。ユキアを危ない目に遭わせようと思ったんじゃないの……
ただ、一緒に外の世界を楽しみたかっただけなのに。
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