拍手 033 百三十話 「失われたもの」の辺り

「怖い人が出て来たから、僕は帰るね」

「おや、一人で逃げる気かい?」

「当然でしょ。ろくに会った事もない大叔母なんて、会いたい人じゃないよ」

「私も会いたくはないんだけれど」

「じいさん、頑張れ! 応援だけはしてる!」

「応援はいらないから、君もこの場に残りなさい」

「だが断る!」

「何を言ってる。後見人の言う事は聞いておくものだよ」

「いやいやいや、もうじき後見の役割も消えるから。てか、もう成人してるんだから、後見の意味なくない?」

「君、私が後見人から引いたら、どういう事になるか、わかって言ってるのかね?」

「あ、やだなあ、その意味ありげな言い方。若者にいらない重荷を押しつけるのは老害って言うんだよ?」

「全く、口ばかり達者になって……。ああ、でもそれだけ口が回るのなら、もう私が後見をしなくても良さそうだ。なるほど、近いうちに皇宮に行って、その旨申し上げてこよう」

「そうだね! それがいいよ。臣籍降下も、もうじきだし」

「……本当にわかっているのかねえ?」


クイトに死亡フラグがたちました。

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