拍手 004 九十一話 「帝都本部の引き取り所」の前辺り

知りたい。

この名前をつけた人の事。

出来たら、お話ししたい。

間違っていなければ、きっと話が通じるはずだから。

でも、顔も知らない人のところに、いきなり行って話を聞いてもらえるのかな?

そうしたら、ザハーさんの仕事仲間のゴーゼさんが、教えてくれた。

私の名前を騙った人に、婚約者を奪われた人が、私が話を聞きたい人だって。

何それ。そんな人知らない。何で勝手に私の名前……他にも、いくらでも偽名なんて考えつくだろうに、どうして私?

でも、その人は少し前に捕まったって聞いてる。帝都で悪い事をしていたからだって。

わずかな繋がりだけど、ここに賭けるしかない。

ゴーゼさんは大丈夫だって言ってくれたけど、やっぱり心配。

もし、間違いだったら。

頭のおかしい子だって思われるんだろうな……

でも、やっぱり行ってみる!

こっちに来て覚えた事に、行動してみるってのがあるから。

あのまま日本にいたら、きっと流され人生送っていただろうな。

でも、こっちでは流してくれる流れなんてない。自分の身は自分で守らなきゃいけないし、自分の生活だって自分でどうにかしなきゃいけない。

だから、勇気を振り絞って会いにいってみる。

駄目だったら……帰ってから大好きなお菓子を食べて泣いて忘れよう。

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