第7話 農業の道
サバスティアンの魔法授業は厳しかった。最初は本当に死ぬかと思った。
「何だよ、この腐っているトマトは⁈ もう一回!」
俺は息を飲んだ。
「でも、朝ごはんだってまだ食べてないだし、ちょっと休憩しても……」
「休憩は許さないよ。この腐っているトマトを食え、反省して」
「お兄ちゃん、私はもう限界かも」
「セン、叱りして!」
サバスティアンは腕を組んで、俺たちの苦労を見守っていた。
「吾輩の目は騙せんぞ。今のお前らは空っぽだよ。いくら休憩しても、いくら食っても、魂は満足しない。さあ、苦労して、苦労を重ねて!」
「行くぞ、セン。もう一回」
「うん、もう一回」
[[プルプルプルリン、トマトが食べたい]]
「何だよ、これ! もはやトマトとは言わないな。もう一回!」
でも、どんな酷いことにも終わりがある。
サバスティアンの魔法授業を始めてから一週間。
俺はそっとセンの手を握った。
「今度こそ、出来る。絶対に出来る」
「うん、お兄ちゃん、私は信じている。私達なら、出来る」
目を閉じて、深い息を吸った。俺の土魔法とセンの水魔法が自由に流れた。土魔法か水魔法だけではトマトを育てない。しかし、俺たち二人なら……。
[[プルプルプルリン、トマトが食べたい!]]
目を開けると、たくさんのトマトが生えた。
「おめでとう! これで、お前らは立派な植物魔法使いだ。一人じゃ何も出来ないけど、二人の魔力を合わせて、こんなに美味しそうなトマトを育てた」
と、サバスティアンは笑顔を浮かべて、手を伸ばした。
「つけるがいい、この眼帯。これは魔法使いであることの証だ」
要らないよ、そんなもの!
「かっこういい!」
センは違うみたいだ。
まあ、この一週間俺たちは本当に頑張った。前の世界では別に頑張らなくても済んだ。成績は普通だった。部活とかは面倒くさいから、ずっと帰宅部だった。この世界に来る前に本当に頑張ったことあるかな。格好悪いけど、頑張りの証としてこの眼帯を素直に受け取るかな。
「ありがとうございます。誇りを持って付けます」
「お兄ちゃん、泣いているの?」
「泣いてないよ!」
「ツンデレだな!」
「ツンデレじゃない!」
センは微笑を浮かべて、眼帯をつけた。
「頑張ったな、お兄ちゃん」
俺は眼帯で涙を隠した。
「センも頑張ったね」
センの頭を撫でながら笑った。
ハナは腕を組んで、少し離れた所から眺めていた。
「え、えーとー、私は一応まだいるんだけど……」
「吾輩は忘れていないぞ! ハナも働くがいい! 早くトマトを収穫して!」
「いやだああああああぁあああぁぁ!」
「ほれ、これをくれてやる」
サバスティアンはハナに何かを投げた。
「これは?」
「ノーズクリップだ。お前、トマトの匂いが苦手だよね。まるで……いや、何でもない」
と、サバスティアンは鋭い笑顔を見せた。
おい、完全にバレているんじゃない?
ノーズクリップをつけると、ハナはやっと近づけた。
「あ、ありがとうございます」
最近、ハナはちょっと落ち込んでいたのだろう。俺とセンは魔法の授業に集中したから、ちょっと寂しかったか?
「じゃ、俺たち三人でトマトをいっぱい収穫しよう!」
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ここまで読んでくれてありがとうございます!この小説がこんなにたくさんの人に読んでもらえて、僕は本当に嬉しいです。皆さんの差しの通りと思うけど、僕の母語は日本語ではありません。正直、誰も読んでくれないと思いました。だから、改めて、本当にここまで読んでくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
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