沙綾ちゃん、うちも沙綾ちゃんのこと大好きやで
強力な邪気を倒したうちらは、休憩を挟んでから上の階の巡回をしたんやけど、結局邪気は見つからず、予め愛梨様が仰っとった三階の階段の踊り場でお二方の到着を待とうとした。
せやけど愛梨様と姫華様はどの踊り場にもう来とってて、うちらが来るのを待っとった。
「お疲れ様ぁ」
「何だか息がはぁはぁしちゃってるけど、大丈夫?」
「はい、私達は大丈夫です」
と、愛梨様と姫華様の問いかけに沙綾ちゃんが答えてくれた。
「お二人は平気そうですけど……?」
と、沙綾ちゃんが愛梨様に問いかけると
「まぁ、私と姫華は一人で倒せたから問題ないわ」
と、答えられた。
「その邪気って、おっきい人の形になっとりませんでした?」
「ええ。それよ」
「ほ、ほんまかいなぁ」
やっぱり経験者の実力って、うちらなんかとは比較にならへんなぁ〜……。
「でも新人2人掛りで倒せただけでも充分すごいわよ。普通は一、二年先輩と組んで倒すんだもの」
「あなたたちの実力を見込んで二人で行動するように言ったけど、思った通り、流石ね❤️」
うちらのことを認めてくださっての判断なんやろうけど、案外無茶をおっしゃる先輩方やなぁ……。
「怪我は大丈夫?」
「沙綾ちゃんが怪我してもうたんですが、うちが回復呪術である程度回復させてから休ませたので、問題はおまへんです」
うちもそう思ったんやけど、そこで愛梨様が微笑みながらうちと沙綾ちゃんの花の頭をツンっと突っついた。
「回復呪術でも全回復とは行かないわよ? あなたたちの巡回する場所の邪気は倒したのだし、一旦部屋に戻って休んでちょうだい」
「巡回にしても任務にしても、万全の状態でやれるようにしなきゃね。大切な人と一緒に居続ける為にもね❤️」
「「は、はい」」
愛梨様と姫華様の仰った事はその通りや。うちはそう思ったし、沙綾ちゃんも反応から見ておんなじ事を思ったんやろうな。
「じゃあ沙綾ちゃん。一緒に行こな」
「うん、ごめんね、睡蓮ちゃん」
「ええてええて」
謝る沙綾ちゃんの背中をさすりながら、うちらは自室に戻った。
⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶
部屋に戻ったうちは、まず沙綾ちゃん用の布団を敷いてそこに横にさせた。
「怪我の具合はもう大丈夫やろうけど、霊力操作と接近戦でえろぉ疲れとるから、ゆっくり休むんやで」
「ありがとう、睡蓮ちゃん」
少し頬を赤くさせながらそういった沙綾ちゃん。いつもよりも声に張りがあらへん。やっぱり相当に弱っとる……。
「なんだか、今日一日で先輩達との実力差をこれでもかって味わわされた気分だわ。やっぱり半年そこらじゃ簡単に強くなれないものね」
「うちらが苦戦した邪気も、あの人達からすれば大したもんでもあらへんってのがなぁ」
「まだまだこれから、かな? 私達」
「そやなぁ。これからまた頑張らなあかんなぁ」
正直、さっきまで自信を無くしかけとったうちやけど、めげずに成長していこうって自然と思える沙綾ちゃんを見てると、後ろ向きになってばかりやあかんって思うことも出来た。
「ねぇ睡蓮ちゃん」
「どうしたん?」
「さっきの睡蓮ちゃん、凄いかっこ良かったよ」
「そ、そうなん?」
「うん、普段のはんなりな睡蓮ちゃんもいいけど、打って変わって凛々しい睡蓮ちゃんも好きになっちゃった//////」
「す、好きっ//////」
さ、沙綾ちゃん、なんか結構大胆になっとらへん?
「私、雅華神社に入ったばかりの頃は戸惑ってばかりだったけど、こうやって睡蓮ちゃんと一緒に仕事をこなしていく中で、背中合わせに命を支え合ってきたからかなぁ? だんだん睡蓮ちゃんを意識してたの」
「意識?」
「女の子として好きってこと❤️」
「さ、沙綾ちゃん⁉︎」
頬を真っ赤にしながら、か細い声でそう言った沙綾ちゃん。大胆や、大胆すぎるでぇ沙綾ちゃん//////
「睡蓮ちゃんは、どう思ってるの?」
「う、うちは……」
うちの沙綾ちゃんへの想い。それはもう決まっとる。
「うちも沙綾ちゃんのこと、大好きやで//////」
「嬉しい……」
沙綾ちゃんはうちの手を引いて顔に近づけた。
「えっと、沙綾ちゃん?」
「……私も雅華神社の巫女に、色んな意味でなっちゃったみたい」
「うちぉ、今なら先輩方の気持ち、何となくわかるわぁ」
「ねぇ……私、口付けしたい……」
「今はあかんでぇ。全部、おわってからにせぇへん?」
「で、でもぉ……」
「終わったら、いっぱい口付けしようなぁ❤️」
「う、うん……」
残念そうに顔を離す沙綾ちゃん。正直うちも我慢でけへんのやけど、巫女としての任務を疎かにもでけへん。だから、今は堪えなあかん。今は……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます