沙綾ちゃんと一緒なら、絶対負けへんっ!
間一髪で沙綾ちゃんを助けられたうち。戦闘中、沙綾ちゃんが牽制して時間を稼いでくれたから何とか発動でけたけど、まだ完全に倒し切れた訳やあらへん。
「沙綾ちゃん、立てる?」
「まだちょっと。呪術を使うことはできるけど……」
「なら今度はうちがあの邪気と戦う」
うちは薙刀に水の呪術を装填する。沙綾ちゃん程の制精度や切れ味はあれへんけそ、今のうちなら技でも何とかなるっ!
「沙綾ちゃん。援護しとくれる? 最後はうちと沙綾ちゃんで決めるで」
「分かったわ」
微笑んだ沙綾ちゃんを背に、うちは薙刀を振るって弱った邪気相手に戦った。さっきの攻撃はかなり効いとる。あの穴の再生ができとらへん。
「私が相手にした時よりも、邪気の攻撃が弱まってる……」
一撃必殺の攻撃は邪気の再生を遅らせることがあるって姫華様が仰っとったけど、その通りやわ。それに沙綾ちゃんの言う通り、さっきまでの勢いが今の邪気に感じへん。
「援護するよ、睡蓮ちゃん」(
沙綾ちゃんが邪鬼の攻撃の隙を突き、五本の小さな炎の槍を飛ばし、邪気の頭と手足にぶつけて邪気の体勢を崩したわ。
「睡蓮ちゃん! 呪術を!」
「やってみせるわぁ‼︎」(連続水砲弾‼︎)
うちは一気に二つの水の砲弾を生成して邪気に叩きつけたわ。威力はさっき程やあらへんけど、確実に倒せる力を込めた攻撃やっ‼︎
ウォォォン‼︎
すると邪気は形を崩し。完全に消え去ったわ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「やったね、睡蓮ちゃん」
「ううん、沙綾ちゃんのお陰やで」
そう、沙綾ちゃんがうちの呪術準備の時間を必死で稼いでくれたんが、あの攻撃に繋がったん。うち一人じゃ絶対に負けとった。
「たてる?」
「まだちょっと……」
「お腹んとこ、ちょっと腫れとるなぁ」
「あっははは……無理しちゃったから」
微かな腫れが沙綾ちゃんの腰回りにできとる。ちょっと青くなっとって痛そうや。
「なぁ、少しじっとしてて?」
「えっ?」
うちはあれって顔しとる沙綾ちゃんのおへそに少し指を入れて霊力を流し込んだ。少しずつ、でも確実に腫れが引いて、青くなっとった場所がどんどん元の白く綺麗な肌に戻った。
「睡蓮ちゃん、もう回復呪術を覚えてたの?」
「姫華様から習ったんよ。まだ霊力操作が荒くて回復に時間掛かってまうけどなぁ」
回復系の呪術は難易度が高こうて難しんやけど、今の沙綾ちゃんを守りたいって思いがあって、無茶を言って習ったんよ。もし沙綾ちゃんが会得できたら、うちよりもずっと高い精度で出来るやろうなぁ。
「私もこの任務が終わったら、愛梨様から教わらないとね」
「そっか……」
うちはそういう沙綾ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「睡蓮ちゃん?」
「ほんまに良かったわぁ。沙綾ちゃんを助けられて……」
「睡蓮ちゃんのおかげで、あの邪気を倒せたわ。私の方こそありがとう」
そう言いながら、今度は沙綾ちゃんがうちをぎゅっと抱きしめた。
「もう大丈夫だよ、睡蓮ちゃん」
「ほんま?」
「うんっ、睡蓮ちゃんの勇気をもらったから」
沙綾ちゃんはうちとの抱擁を解いてすっと立ち上がったけど、微かに身体がガタッと傾いた。
「危ないっ」
うちも立ち上がって沙綾ちゃんを抱き抱えた。
「もう少し休もうや」
「そうだね……こんな身体じゃあ任務に支障が出るよね」
「そうやでぇ。元気な沙綾ちゃんやあらへんと、どんな任務もこなせへんでぇ」
「うふふ、睡蓮ちゃんったらぁ」
ほっぺを赤くして照れる沙綾ちゃん。めっちゃ可愛いけど、今はやらなあかんことがある。
「少し休んだら、上の階の巡回に行こな」
「ええ、そうしなきゃね」
私と沙綾ちゃんはそのまま二十分休んで、巡回を再開することにしたわ。
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