こうやってみんな、雅華神社に染まるんだね……

 武術と呪術の習熟度合いの確認を終えた私と睡蓮ちゃんは、午前中の残りの時間を寮での巫女の勉強に宛てることにした。


 まぁ基本的なことは一年間をかけて勉強したんだけど、ここをおろそかにするのはいけないと思ったし、何よりこれから巫女として仕事をしていく以上、復習は大事と思ったの。


 ちなみに涼音様曰く、私達がどの部隊に配属になるのかは研修期間が終わってからになるから、来年の春までは色んな部隊の先輩方との稽古や仕事が中心になるみたい。つまり、この一年がすっごく大事になるってことなの。


「それにしても、沙綾ちゃんって真面目やなぁ~」

「座学もしっかりしないといけないからね。実技の方は中途半端だったけど、ここはちゃんと固めておかないと大変かもって思ったし。睡蓮ちゃんはどうなの?」

「うちも座学は自信あんねんけど、実技もしっかりせぇへんとなぁ~って思っとるん。まずは呪術と霊力の使い方の基礎を徹底的に固めないとぉ」


 おっとりゆる~い感じの女の子だけど、とても真っ直ぐなところもあるのが睡蓮ちゃんの魅力なんだろうな~。私も頑張らないと……‼


「でも、涼音様も恋様も凄いなぁ~。うちのずぶ濡れの装束を一瞬で乾かしてしもうたわ~」

「涼音様の呪術って、炎の呪術の一番低位の熱発生だったけど、恋様の風の呪術と同じ程度の霊力で行使されてたね。息があってないと到底できないことだわ」

「ほんまに、雅華神社の巫女さん達って、改めてすごいんやなぁ~」

「うん……」


 涼音様も恋様も、熟練の巫女として本当に凄い。本格的に仕事をなさっている所を目の当たりにした訳じゃないけど、今日のことでそれだけは分かってしまうわ。


「それにしても、この神社の巫女さんってめっちゃ凄いけどぉ、恋様みたいに女の子大好きな人が多いんやろうなぁ~」

「そ、それは……」


 凄い巫女ではあったけど、あの女たらしっぷりの方が印象に残ったわ。まぁ、私も巫女を目指してから異性と関わることって、お父さん以外になかったなぁ。この神社に入ったら、私もいずれ他の巫女さん達みたいになるのかなぁ……?


 そう思っていると……


「おりゃ!」

「きゃあっ!」


 急に睡蓮ちゃんが私の胸をモミュッと両手でつかんだ。


「す、睡蓮ちゃん⁉」

「やっぱり沙綾ちゃんって、お胸が大きいなぁ~」

「ど、どうしたの突然っ⁉」

「んん~。沙綾ちゃんのお胸って、なんかずっと見てると触りとうなるんよなぁ~」

「そ、そうだとしても、こんなところで……」

「じゃあ、どんなとこならええんや?」

「そ、それは……」


 どうしよう、睡蓮ちゃん大胆過ぎるっ‼ でも、突然すぎっ‼


「沙綾ちゃんはどうなん?」

「ど、どうって?」

「うちの身体、触りたいって思わんの?」

「さ、さわ……//////」


 な、なにを言ってるの? 睡蓮ちゃん


「他の巫女さんみたいに、うちらもこうやって触れ合ってみぃひん?」

「触れ合うって……」

「雅華神社の巫女さん達の絆が強いのって、こう言うこと触れ合いがあるからじゃないんかなぁって思うんよ」

「前はここまで出来ないって言ってたような……」

「ちょっと考え方変わったんよ」

「どんだけ大胆に変わってるのよっ!」

「ほれほれぇ、このままやととんでもないとこまで触ってまうでぇ~」

「も、もうっ!」


 私も意を決し、睡蓮ちゃんの緋袴の切れ込みに手を入れてお尻や太ももを触り始めた。


「くすぐったいわぁ~」


 ほんわかはんなりの睡蓮ちゃんのお尻や太ももを触る私。あれ? 結構いい反応してる……あれれ? 


「ちょ、ちょい待ちぃな沙綾ちゃん!」

「睡蓮ちゃん……可愛いわね」


 どうしよう、止まらなくなってきた……。


「さ、沙綾ちゃ~ん」

「さっきまで私を一杯触った仕返しよ……」


 どんどん睡蓮ちゃんの反応が可愛くなってる。それに……


「そのおっぱいも憎たらしいわね……」

「な、どないしたん?」

「こうするのよっ!」


 そう言いながら私は睡蓮ちゃんの胸をガシッとつかみ、乱暴に揉み始めた。


「沙綾ちゃ~ん!」

「さっきまで私に好き勝手やってたんだから、これくらいやってもいいでしょっ⁉」

「ご、ごめんって~」

「ごめんで済んだら巫女はいらないわ~!」


 と言いつつも、やっぱりはんなり睡蓮ちゃんの反応が気に入っちゃってるのが理由なんだけどね~。


ガララッ!


「あらら?」

「「あ……」」


 突然、部屋の戸が開いて先輩の巫女が口に手を当てて微笑んでいらした。


「え、えっと、これは……」

「あなた達も、雅華神社に早くも染まってるわね~」

「いやいや、私はそんな……」

「いいのよ。ここの巫女はみ~んな最初はそうなんだもの。そして時間を掛けて深い関係になるの」

「あ、ああ……」


 だめだ、先輩完全に誤解されてる……。


「そうそう、そろそろお昼の時間だから、食堂に降りてこられてって寮母様が仰ってたわ。済ませることは済まして、降りてらっしゃいね~」


 そう言いながら先輩は戸を閉めて立ち去られた。


「なぁなぁ沙綾ちゃ~ん」

「な、なに?」

「うちら、いっそ染まるのもおもろいんちゃん?」

「えっ、えぇぇえ⁉」

「なぁ~んて」

「へ?」


 私はぽっか~んとなった。


「でも、仲良くなりたいってのはほんまやでぇ~。一緒に頑張ろなっ!」

「う、うんっ!」


 ちょっとお戯れが過ぎるとこがあるかもだけど、睡蓮ちゃんと会ったら一緒に頑張れる気がする……。私、ここの巫女になれてよかったわ!


⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶


 今日の投稿分までで第一章は終わりですが、明日は今作の登場人物や用語集を投稿しますので、こちらも参考にしていただければと思います! 第二章は5月1日(土)からスタートです!


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