3
「てれび番組などというものに出てくるまがい物と一緒にするな。だが貴様の認識の基本は間違ってはいない、口寄せという術をもって己に必要な霊的なものを、己自身の体に乗り移らせる行為を執行する者がイタコ。本物のイタコというものはそれは厳しい修行を経てそれに耐え抜いた選ばれた者だ。貴様は修行などせずとも生まれながらにその力を持っていて、さらに術を使わずとも己の中にある力だけで死者や霊魂ではなく神に近い存在を引き寄せる。ただ、自覚が無ければそれを利用することも行使することも、さらには自らの身をそれらから守る事もできない。今の貴様の姿がそれだ。己の中に留めてしまい、連中によって生命力を奪われ自身で自身を苦しめることになっている。残念ながら貴様はその辺に浮遊している雑魚な霊的存在を留めている訳では無い、故に現世の少々力を持っただけという連中の除霊などというものではこの存在は払えぬ。今現在のこの世界で貴様のような存在をどうにかできるのは二つの力だけ。貴様をここへ導いた
話している間にも
「ふむ、久方ぶりの食事は中々様々な集まりで楽しませてもらえた。礼を言うぞ」
掛け軸から抜け出してきたときよりも白く、銀色に近い輝きを放つ
放り出されるように座椅子に落下した
「戻った」
「当然であろう、何度となく言っておるが我は貴様を
まだいうのかと半分呆れた様に鼻息を一つ吹き出して、鼻先を天井に向けた
「俺はこの力を手放すことはできないのか? それに今までこんなことはなかったのにどうして今回こんな酷いことになったんだろうか」
「なんだ、貴様は全く気付いておらんかったのか? 効力はほとんどなくなっているが貴様の体には護符の気配がこびりついておる。しかもかなりの年月のな。この気配は
「護符? そんなもの……」
そう言い掛けて
お互いそれだけでしか繋がりが無かったと言っても良いし、考えてみれば今年は年賀状を受け取っていない。
「もしかして、あれが護符? 普通の年賀状に思えたけど」
「護符という物に決まりはない。どんなにその形を装っていてもそこに力が無ければ護符とは言えぬ。それに所詮貴様は素人であろう、それが護符かどうかなど見分けがつくとも思えん」
鼻で笑って言う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。