再会は突然に

勝利だギューちゃん

第1話

旅に出た。

誰にも言ってない。

行き先も決めてない。


風の吹くまま、気の向くまま


1人は気楽だ。

しみじみ想う。


僕は、結婚はもちろん、社会生活には向いていない。


自由には責任が伴う。

でも、今は考えない。


「旅に出る」

その選択が間違いでなかったと、思うような旅にしたい。

この旅が、一生の想い出になるのだ。


彼女も友達も、そして家族もいない。

僕は、ぼっちだ。

それが、ありがたい。


なので、僕が旅に出た事を知る者はしない。

敢えて言うなら、休暇届けを出した、会社の人くらいか・・・


あっさりOKしてくれた。

いてもいなくても、同じようだ。


空は・・・

雨が降っている。

僕は雨男だ。

でも、心ははずむ。


出来る事なら、誰にも会わない事を願う。

特に知人には・・・


まあ、あっても無視されるだろうが・・・


駅に着き、特急のグリーン車に乗る。

なぜらな、このシーズンは贅沢してグリーン車に乗る人は、皆無。

案の定貸し切り状態。


乗務員さんは素通りする。

最近は、機械でわかるらしい。


たいしたものだ。


最寄駅に着いた。

海だ。

シーズン前なので、誰もいない。

この白い砂浜と青い海は、今は僕だけの物だ。


最高だ。


「残念だけど、君の独占じゃないよ」

「えっ?」

女の子の声に振る向いた。


「私もいるから、君と私のふたりの世界だね」

「・・・」

「久しぶりだね。昌孝くん。」

「・・・」

「うん?どうかした?」

少女は不思議そうに尋ねる。


僕の名前は、昌孝・・・栗田昌孝。それは間違いない。

でも・・・


「だれだっけ?」

その言葉に彼女はこけた」


「咲代。飯塚咲代。高校の頃の君のクラスメイト」


・・・


「たった今思い出しました」

「本当に?」

「高校3年間僕のクラスメイトで、1月5日生まれのA型。

なぎなた部にはいっていて、国体出場。

妹が2人いて、卒業後は旅行会社に勤務。


お菓子作りが趣味で、アイドルオタクでそのアイドルが、ころころ変わる」


彼女はあきれていた。


「説明臭いセリフをどうもありがとう」

「いやあ、それほどでも・・・」

「褒めてないからね」

「わかってる」


せっかくのいい気分がだいなしだ。

こう言う時に、会いたくない人に会う。

あるあるだな。


神様は意地悪だ。


「ところで、飯塚さんはどうしてここへ?お仕事?」

「君と同じだよ。昌孝くん」

「僕と同じ」

飯塚さんは頷いた。


「たいくつな日常を離れて、大自然の中で、命の洗濯をしたかったの」

飯塚さんは、海にむかって。両手を広げた。


「じゃあそうういうことで、僕はこれで・・・」

「まてい」

飯塚さんは、僕のえりくびを掴む。


「まだ何か?」

「せっかくだから、付き合ってもらうわよ」

「断る」

「だめ。私みたいな美人といられることを、感謝しなさい」


自分でいいますか?


「とにかく、付き合ってもらうわよ」

「さっき、彼氏に振られたから」

「僕は身代りですか?」

「うん」


即答すな!


こうして、付き合わされる事になった。

悪くはなかったが・・・


≪俺の休みを返せ≫

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再会は突然に 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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