第30話 勇者VSオークVSビッグジョーズ③
その根競べにはあっさりと決着はついた。
「来た!」
大地の温度が上がり、風が吹き荒れる。その上昇気流の先に顕現したのは、黒い雲であった。
「仕上げだ、アテナ!」
「分かったわ!」
生まれ出でた雷雲に向かって、雷撃を放つ。雷を吸収した雷雲が増幅し、金切り声を上げる。
「来るぞ、我慢してくれグラーシーザー!」
『はい!』
光が放たれ、遅れて轟音が鳴り響く。天から降り注いだ稲光がサメの頭部に突き刺さったグラーシーザーに落ちた。
そこからサメの芯まで焼く。
さっきのグラーシーザーの攻撃では届かなかった奥底まで到達し、サメを黒焦げにした。
しかし代償も大きく――
「ぐああああああああああ!」
この場は先程の大きさにタイダルウェイブで水浸しになっていため、その極大の落雷の全員が雷撃を喰らってしまった。リョウは全神経が切り裂かれているかのような痛みに膝をついた。
――全身が痺れて、動かねえ。
なす術なく上半身が、地面に着地する、直前に受け止められる。
「全く無茶して」
アテナであった、どうやら彼女は空中に浮いていたので無傷だった。
そしてアンデッドのサクラとオークの長は食らったがその強靭な肉体は傷ついて入るけれども、深刻なダメージではない。
逆に勇者候補という名の一般人のリョウは完全に瀕死状態で動けない。
「ひゃめは?」
舌が痺れて呂律が回らない。
「倒したわよ」
アテナは動けないリョウの頭をもって、自分が見ている視線の先に向けた。そこには黒焦げになった、サメがそこにいた。
「勝ったんだな」
「ええ」
「うまくいったな、リョウ!」
サクラとオークの長が駆け寄ってきた。流石というべきかもう完全復活している。
「……や、やりましたね」
「グラーシーザー、その……すまん」
合流してきたグラーシーザーはサメのように真っ黒だった。やっぱり避雷針代わりにしてしまったのは心が痛い。
「あははは、大丈夫ですよ。それより全部解決しましたね」
オークの食糧問題とサメの討伐これで現状の問題は解決した――一応自分たちのペナルティも解決だ、本当にうまくいった。
「じゃあ、いったん村に戻ろうか」
激闘を終えて帰路につく一行――その後方の黒いサメ、その腹から流れ出る。たった一つの命が再び騒動を起こすのだが、それはまた別の話。
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