第50話 おしまいがやってくる

「俺はお前が好きだ」

「ふーん、きつねはそんなこと知ってましたけどね……って、え? マジで?」

「好きだ。愛している……かどうかはわからないけど、お前といると楽しい。飽きない。変なキャラ作りしてて、傲慢で不遜で慇懃無礼で獣を馬鹿にすることばかり言って、でも本当は寂しがり屋で傷つきやすいそんなお前が愛しい」

「えっ、えっ」

「飄々としているけれど実は責任感が強くて、困ったときは助けてくれようとして、俺が傷つかないように気を配ったりして、俺を馬鹿だとお前は言うが、お前だって相当な馬鹿だ」

「えっちょっと、えっ意味がわからない」

「好きってことだよ、そんなお前が好きなんだ」

「ちょ、ちょっと、でも、待ってくださいそんな、本当に」

「お前も俺が好きだろう?」

「……!」

「隠そうとしたってわかるんだよ、俺はたぬきだからな。俺はお前が好きだ。お前も俺が好きだ。そうなれば真実の愛、めでたくハッピーエンドじゃないか? なあ、『世界』、そうだろう」

『――――』

 機械たちの一つ目が、青く光る。

「待ってくださいよ、それじゃ僕の、僕の覚悟はどうなるんですか」

「どうも何もない、覚悟は覚悟として置いておけばいい。俺が引き取ってやるよ」

「それじゃ、そんな、そんなの……………あー。馬鹿。やっぱり君は馬鹿ですよ……」

 その言葉を引き金にしたかのように、薄れ、消えていく機械たち。

 霧が晴れていく。

 失われていたものが戻ってゆく。

 世界が元通りになってゆくのが「わかる」。

 残った柱は「二柱」。「たぬき」と「きつね」。

 そうか――

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