第49話 えがおではみおくれない

「で、何ですか、話って」

「お前の記憶を見た」

「……」

「ずっと一匹だったこと、友達が欲しかったこと」

「何ですか、勝手に」

「ごめん」

「それで僕のことわかった気になってるんですか」

「わかった気にはなってない、お前と俺は別の存在だし、そんな、わかるわけないし」

「じゃあ何ですか」

「柱にはなる。ただし、お前と二人で」

「そんなことできるわけがないでしょう」

「できる」

「何を根拠に」

「真実の愛で世界は動くという」

「……古い話だ」

「でも、全くない話ではない」

「今さらそんな古い伝説に縋って何がしたいんですか。真実の愛なんてあるわけがない。だいたい、君も僕も真実の愛なんて信じてないでしょう」

「まあ、信じてなくても感情が該当すればいいと思ってる」

「何ですか、じゃあ君はそんな感情を持ってるとでも?」

「さあ、どうだろうな」

「何にしても、遅いんですよ、何もかも。こちとらずっと不安で、怖くて、それで、やっと消える覚悟をしたってのに、今更真実の愛だなんだって不確かな希望に縋って、だから君は希望で目を曇らせてるって言ったんですよ、そんな、あるわけない、そんなこと、できるわけがない」

「できるわけがないかどうかはやってみないとわからないだろ」

「信じられません」

「じゃあ言ってやるよ、俺はお前が好きだ」

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