第41話 らくじゃないねむり
眠りの樹海。
ここで住民が寝ているのに遭遇したのだっけ。
バーの前まで来る。
ドアには相変わらずツタが絡まっていて、開かない。
「……」
俺はヒト化を解き、ツタを切った。
そしてすぐに戻る。
きつねのように器用なことができない俺はこうするしかない。どのみち里が消えた今、古い掟もまた消えたってきつねも言っていたしこのくらいはいいだろう。非常事態だし。
そう、罪悪感だなんだと言っている場合じゃないんだ。
「お邪魔しまーす……」
バーの中には誰もいなかった。それはそうか、回想の中に意志持つ獣やヒトがいるのも変な話だし。
入口側のテーブル席に座る。
ここできつねが寝てしまったのだっけ。ツタが襲ってきたりもした。
だけど俺はそれでも何とかなると思って、きつねを背負って外を目指したんだっけ。
うるさいきつねが黙っているのを少し寂しく思ったりして。
今、きつねのいない回想の中。こんなことになるなんてその時は思ってなかったな。
バーの外に出る。相変わらずの樹海。
『いつか救えない対象が出てきたときに絶望しますよ?』
その言葉の意味を今さら考えたりして。
景色が切り替わる。
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