第42話 りのつうじぬたに
静寂の谷。
音がなくなって、狐火と狸火でやいやい言い合ったな。
きつねは狐火の扱いがうまくて、普段からお喋りなあいつらしくばしばし文字を表示させていたっけ。
『僕は生きてますよ、少なくとも今はね』
『これからどうなるかなんて誰にもわからないじゃないですか、そうでしょ?』
狸火の扱いに慣れない俺の言葉を待ってくれたきつね。
『そっちこそおれをしんらいしてないんじゃないのか』
それは、どうだったのだろうか。
ひょっとすると、あんまり深いところまで信じたら傷付くとか、そういうことを考えていたのかもしれない。
違うかな。
だって俺ときつねはなんだかんだ言って似ている気がするんだ。傷付くのが怖いのはある種お互いさまだったんじゃないかって、そんな気がするんだ。
決めつけてしまうのはよくないし、まだよくわからないけれど、なんだかそんな気がしている。
景色が切り替わる。
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