第25話 のこされたいせき

 レンガの道。

 あてもなく進んでいたところにそれが現れたものだから、これ幸いと俺は道を辿っていた。

 木々に埋もれてはいたがそのレンガに劣化した様子はなく、比較的新しい道なのだろうか、これは。

 ひょっとすると、ここが呪に呑まれる直前に作られたとかそういうのかもしれない。

 何か、役場とか、そういうところに繋がってたら楽だな。道訊けるし。

 あ、でも役場のヒトたちまたは獣たちも呪に呑まれてたら訊けないな。

 もしそうなってたら、地図だけ勝手に見せてもらおう。

 うむ、と一匹で頷く。

 背中のきつねはまだ起きる気配がない。

 まあそれはそうで、そんな簡単に解放されるものではないと言ったのはこいつだし、そうなのだろう。

 さっさと出て、目覚めさせなければな。なんだかんだでこいつが黙ってると旅が寂しい。

 ふと道が開ける。

 目の前には石造りの白い建物。

「……遺跡?」

 何を目的として作られたかはわからないが、元・たぬきの里にあった洞窟の内部と似た感じの、曇り空に照らされて輝く、遺跡のようなものがそこにあった。

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