第3話 人として終わっている貴方に恋をした

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『悪ノ王国〜破滅の時を君と〜』


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 私はリベル・ディクターというキャラクターの、ガチ恋系限界オタクだった。 


 でも『悪ノ王国』というゲームを手にした瞬間からそうだった訳じゃない。

 リベル様の前にプレイした二つのルートでは、諸悪の根源を倒したとエンディングで喜んだりもした。

 それなのに、今私がこんなにもリベル様が好きなのは、彼のルートで知ってしまった一つの事実のせい! 


 リベル・ディクターは『光』属性である。


 こんなにも悪逆非道なんだから闇属性だろとか思っていたら、光属性だった!! このギャップにまず頭をガツンと殴られ、この意味を知った時には泣いた。

 全ての魔法は精霊によって引き起こされる奇跡である。という設定のこの世界で、光属性になるには光の精霊に好かれ、契約しなければならない。

 そして光の精霊が好むのは、清廉で純粋で善良な人間。


 つまりリベル様にもそういう時代があったわけでしょう!? 契約できてるんだから。

 でも今はその真逆を素で行くような人になっちゃったんでしょう!? 


 何があったらそこまで歪むんだよエモじゃん! 

 もうそんな、悪役の裏事情とか教えられたらさ! 幸せになって欲しいとか思っちゃうじゃん!! 

 本当は優しい人じゃなくて、昔は優しかった人ってのがもう凄い刺さった。


 だから、何がどうなっているのか、正直自分でもよく分からないけど、五体満足のリベル様を目にしたこの瞬間私は一つ決意をした。


『リベル様に幸せを』


 ゲームの本編ですら救われなかったこの人を、心の底から笑えるようにしたい。

 優しさとかは別にいらないから、奴隷落ち以外の生存ルートを模索したい。

 シナリオを覆すなんて神をも恐れぬ所業だけど、こんなチャンスを与えてくれたのはしても良いって事でしょう? 

 私がリベル様を救いたいと思っても良いって事でしょう? 


 だって、私は——



 救いようもないほど歪んでいて、人として終わっている貴方に恋をしたのだから。




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