バイターの少年時代1

12年前、ブレスタ王国 「現在、この世界は存亡をかけて他の世界と戦っています。今年で戦いはじめて983年。あと17年以内に決着がつかなければ、全ての世界が滅びてしまいます」 俺はアルカイド=ローズ=バイター。最強の国と呼ばれるブレスタ王国を支える2大貴族、アルカイド家の当主、アルカイド=ライゼン=ハイバーの長男だ。今は、屋敷で授業を受けている。 「それで、いずれは俺もその戦いに駆り出されるというわけか」 「バイター様はこの世界の切り札である『特殊能力持ち』ですからね。本来ならば長男がアルカイド家を継ぐのですが、すでに次男のアイダス様がアルカイド家を継ぐことが決定しているので、バイター様は戦争の最前線で戦っていただくこととなるでしょう」 そう。俺は『特殊能力』を持っている。特殊能力は『素質があるものが生まれつき持つ、最強の能力』と呼ばれ、この世界の特殊能力持ちは6人しかおらず、一人一人が違う特殊能力を持っている。俺の特殊能力は『全てを破壊する拳』だ。俺の力の引き出しかた次第では、どんな存在だろうと破壊できる。また、特殊能力持ちが一人死んだら、新たな特殊能力持ちが現れるらしい。 ちなみに、特殊能力持ちは皆紫色の目を持つが、俺の生まれたブレスタ王国の人は赤い目を持つので、俺の目は左目が紫、右目が赤に なっている。 父は『史上最強の魔法使い』と呼ばれる伝説の魔法使いだ。母は『天才ヒーラー』と呼ばれるヒーラーだ。全ての超人は18歳で職業に就くのだが、父と母はそれぞれ、才能があるものだけが就ける『アルティメットウィザード』と『アルティメットヒーラー』という職に就いている。 ブレスタ王国の人々は生まれつき身体能力や魔力が高いのだが、そんな2人の血を継ぐ俺は、そのなかでもずば抜けて高い。いつかは両親を越えたいと思う。 ― 「それでは、体術の授業に移りましょう」 そして俺は、日々勉強や稽古に励むのだった。

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