第38話 スナイパーと駆け引き

 一年一組の代表は……


「俺!?」


 いやいや押し付けられたその役だったが、俺は魔法使いだから逃げ切ってみせたい。

 この勝負で勝てば、今後に役立つ景品が貰えるから。


 俺はハチマキをつける。

 そして驚いたのが、もう一人の代表が月島さんだということ。

 月島さんは俺が押し付けられると、月島さんはすぐに自分から挙手をした。多分まだ両親の病気が治ったことを俺の力だと思っているのだろう。

 魔法を隠す必要も無いが、念には念を入れて隠す。


「じゃあ二人とも。頑張ってね」


 クラス全員の期待を胸に、俺たち二人は戦場という名の学園を駆ける。


 まずは隠れるため、俺は迷路エリアに向かおうとした。だが月島さんは俺の腕をつかんで止める。


「神崎くん。迷路には多分……多くのスナイパーが戦っていると思う」


 確かに耳を澄ませると、迷路エリアから銃声のような音が聞こえてくる。


(やはりどのクラスも考えることは同じか)


「ならどうする?」


「決まっている。私たちはこの校舎にいるスナイパーを暴く」


「ああ。俺たちは代表者だ。だがそれを逆手にとれば、これほど簡単なゲームはない」


 俺たちの圧倒的な作戦。これは戦況を把握できるほどの人員配置とイヤホンマイクよる常時の会話。

 俺たちが負けることはまずない。だがしかし、逃げ切られたらそれで終了。


「神崎くん。じゃあ校庭に出よう。多分みんな素人だ。それに今回はスナイパーライフルしか所持できない。なら至近距離ではなく必ず遠距離から狙ってくる」


「だから校庭に行けば、どの生徒からも俺たちの存在を認識できる」


 思っていた以上に簡単なゲーム。

 頭脳とそれに伴う実力があれば簡単に相手をコントロールすることができる。

 今、戦況は俺と月島さんにかかっている。


「さあ。本物のスナイパーズ・ゲームを見せてやろう」

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