スナイパーズ・ゲーム編

第37話 スナイパーズ・ゲーム

 四月十日。

 今日はこの学校による行事が行われるらしい。

 俺たち一年生は体育館に集められた。


 この体育館は少し変わっていて、大きさは二千人が入っても余るくらいの大きさで、もちろん天井は高い。上には観覧席があり、椅子がある場所と立ち見用のが用意されている。

 この体育館は忍者屋敷のような仕掛けがあり、動く壁や飛んでくる手裏剣。さらには本物の忍者までいる。


 ずいぶんと凝っている仕掛けが多く存在するこの体育館に集められた一年生。何が始まるのかとドキドキしている。


 校長が壇に上がり、祭壇に体を預けマイク無しで俺たちに言う。


「今から君たちにはとあるゲームをしてもらう。その名も……スナイパーズ・ゲーム」


 並んでいた全生徒がざわざわし出す。だが校長はそんなことを一切気にせず、話を進める。


「このゲームのルールはいたって簡単で、全5クラスによる対抗戦。クラス二名がハチマキをつける。その二名を他のクラスの者がペイント銃狙撃できればされたクラスは即失格」


 (なるほど。戦略的なゲームですね)


「さらに、スナイパーはクラスで一名のみ。あとのメンバーは他のクラスのスナイパーを見るなりしていろ」


 (面白いが、それでは余っている生徒が少しかわいそうなのでは?)


「だがルールはそれだけではない」


 (だろうな。それだけではつまならすぎる)


「余っている生徒は基本的に何をしても構わないが、他のクラスのスナイパーを誰なのか当てることができたら、そのクラスのスナイパーは当てられたクラスの代表者を撃っても倒したことにはんらない」


 (なるほど。ポイント制ではないからこそ、駆け引きが最も重要視されるということか)


「最後に一つ。それぞれのクラスの教室に武器とハチマキが用意してある。あと教卓の上に置いてあるプリントには代表者とスナイパーの名前を記入し、担任に渡すこと」


(奪えないってことか)


「では二時間後の10時10分。終了は5時間後。ではゲームを始める。さらば」


「校長。景品については?」


 教頭に言われ、校長は再び教卓に戻る。


「これが本当に最後の話だ。優勝したクラスには、今後必ず必要になるものを差し上げよう」


(ほう。面白いじゃないか)

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