第32話 見る魔法

 副会長の姿が目良の姿に変わる。


 これが、見る魔法!?


「神崎。あいつの視界に入れば、体を硬直させられて動けなくなる。だから……」


「もう遅い。見る魔法コンタクトマジック魔法No.70 視縛コンタクトロック


書く魔法ライティングマジック 魔法No.6 光衣ライトスーツ


 俺は空中に"光衣"と指を走らせる。すると、俺と月島さんと木原さんの周囲に光がまとわりつく。

 予想通り、目良は光に弱く、俺たちを直視できない。


「目良。お前の敗けだよ」


見る魔法コンタクトマジック 魔法No.67 視暗コンタクトブラック


 俺の魔法によって創り出された光が、目良の魔法によって消された。

 目良の魔法と俺の魔法では戦闘においての力の差は歴然だ。だからといって、ここでやられるわけには。


詠む魔法リーディングマジック魔法No.31 接着玉テープボール


 木原さんが出した玉が、目良に当たり、壁まで衝突させる。

 目良の全身はその接着玉で覆われて壁に貼り付けられ、目良は身動きがとれなくなっていた。顔も壁にくっついているから、こちらを見ることはできない。


「強かったが、ここまでだな」


「目良。貴様はどうして裏切った?」


 木原さんの問いかけに、目良は一切動じず、喋る気がない様子だ。


「目良。答えろ。さもなくばこの女を殺す」


 なぜか木原さんは月島さんの首を絞める寸前で動きを止める。


「え!ちょっと……私!?」


 目良には見えていないようだが、月島さんの動揺を耳で感じとり、状況を把握したようだ。


「待て木原。事情を話す」


「ああ」


 木原さんは月島さんを解放した。これじゃどっちが悪者か分かりゃしない。


「この前も言ったが、俺たちは既に知り合っていた。それは10年以上も前で、生徒会メンバーは全員忘れていた。もちろん俺もだ」


「目良。もっと詳しく教えてくれ」


「ああ。俺たちは記憶を消されていた。ある者によって。その者は俺と似たような魔法も使っていて、かなうはずが無かった」


「そこからどうしたらお前が私たちを捕らえることに繋がる?」


「そうだな。実はな、それは……」


 何かを言い欠けたとたん、目良の姿は消えてしまっていた。

 今までのは幻覚だったのかと疑ってみたものの、確信がない以上は憶測の範疇を越えない。だがどうして消えたのだ?


「貴様ら。私は、神である」


 突然、脳内に男の声が響き渡る。

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