第28話 嘘つき
俺の提案に乗り気では無かった二人だが、いつしか二人は俺の作戦を真摯に聞いてくれていた。
「でも生徒がつく嘘は証拠がないと信じてもらえない」
「ああ。だからこそ、木原さんの魔法が必要不可欠なんだ」
木原さんの魔法は詠む魔法。その魔法は様々な物を造り出すことができる。造り出した物体は自由自在に動かせる。
「木原さん。お願いがあるんだけど……」
そして夜。俺たちは学校から抜け出した。
色々な場所に存在する監視カメラを避けて進み、学校の正門についた。
「監視カメラは一台のみ。木原さん」
木原さんは魔法を詠む。
「
すると木原さんの手の上に風の玉が出現する。
そして俺も空中に文字を刻む。
「
"物体浮遊"と宙に指を走らせると、俺たちの体は宙に浮いた。
丁度監視カメラの真上。そして塀の上。
木原さんは風の玉を俺たちの背後で破裂させる。すると風が吹き荒れる。
俺たちはその風を利用し、吹き荒れた風を背に受けて、学校の外に脱出した。
「じゃあ生徒会メンバーに会いに行こう」
俺たちはPTAや教師会の裏を探るため、生徒会メンバー全員で暮らしているシェアハウスに向かっていた。
だが、学校からはそう簡単には逃れられない。
突如、真夜中の住宅街に響く小さな発射音。
その音がなると、俺たちの正面に網目状のネットが落ちてきた。
「まさか……」
落ちてきたネットには、神乃学園のエンブレムが付けられていた。
そしてどこからともなく聞こえてくる足音。
これは屋根の上から聞こえてくる。
「皆。走って」
木原さんの合図と共に、俺たちは一心不乱んに走り出した。
俺たちが住宅街を走っている最中にも、頭上からネットが落ちて、俺たちを捕らえようとしている。
逃げても逃げても追ってくる謎の者たちを背に、俺たちは多少なりとも恐怖を感じていた。
「
木原さんは手の上に出現させた風の玉を追ってくる者たちの方向に飛ばした。パーンと風が弾ける音とともに、数名の悲鳴に似た声が住宅街に流れた。
それでも追ってはまだいるらしく、足音は止まない。
だが、一本道に差し掛かった時、正面に立ちはだかる男がいた。
故障で消えていた街灯が光始め、俺たちの前に立ちはだかる男を照らした。
その男は黒い短髪をし、手にはスタンガンを持っている。
「め……目良!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます