第25話 終了

 圧倒的強者には、弱者は戦いを挑むことなど出来ない。それどころか、下っ端となり、恥を捨て去ることすらできてしまう。


 全く、人間というのは、愚かだね。


「あーあ。負けた……」


 神崎は地べたに背中をつけ、黒い雲が覆う空を見ていた。


「副会長。終了の放送が流れませんけど……」


「確かに」


 言われてみれば、ゲーム終了の放送が流れない。つまり戦いは終わっていないということでは?


「さようなら。生徒会メンバー」


 校舎の屋上には、巨大なペイントバズーカを持った狛犬がいた。


「まだ……生き残りがいたのか……」


「副会長」


「木原。私たちの負けだ。この広い校庭では、逃げ場など存在しない。つまり神崎の作戦がこの危機的状況を生み出した。さすがは1年1組クラス委員だ」


 神崎を絶賛する副会長。

 生徒会メンバーは逃げることなく、狛犬が放ったペイントバズーカによる攻撃を受ける。


 散らばった青いペイント。ゲームは終わった。

 終了の放送が流れた少し後、生徒会室では生徒会長を訪ねる不審な女がいた。


「生徒会長」


「PTAの方が生徒会室に何の用ですか? 」


「あーあ。君たち生徒会には、辞職してもらうことになったよ。これは教師会も賛成だそうだ」


「やはりですか。このゲームそのものを仕組んだのは、生徒会御庭番の存在を確定させるために仕組んだものですね」


「正解だ。つまり、君たちの負けだよ」


 ゲーム終わりと同時に、生徒会という学校を護る組織がPTAと教師会によって終わらせられた。

 今後の学校は、一体どうなるのやら。


「はぁ」


 エンドロールはもう近い。

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