第9話 生徒会御庭番
神崎は生徒会御庭番が向かった場所に走っている。そして神崎は見つけた。
この迷路エリアという誰もいないことを利用し、住宅街が密集した場所で教師と黒服を着ている何者かが取引している現場を。
「月島さん。あの教師は誰?」
「あの人は理科の教師。毒川先生。彼が渡してるのは恐らくかなり強力な毒。造ることすら危険なはずだが……」
月島は自分なりに推理している。そこに水を差すように、神崎は問う。
「毒って…どうして分かるの?」
この距離からでは瓶に入った何かを渡していることしか分からない。なのに月島さんは一瞬で毒だと分かった。
月島さんも相当人間離れしている。
「毒川先生は手袋をはめている。それに瓶は何重にも袋で密閉している。つまり匂いだけでも危険ってこと。さらに、毒川先生の手にはハイロニエン炎症というものが見られる。あれはかなりの量の毒を浴びた際に出来る湿疹のようなもの」
確かに瓶をよく見ると袋で何重にも密閉されていて、取引相手も手袋をしている。
「そして何よりあの人は殺し屋。妙に胸元が膨らんでいる。あれは胸元に銃を仕込んでいるから」
よく見ると、胸元はうっすらと膨らんでいる。
取引は終了し、殺し屋が毒川先生に大金が入ったアタッシュケースを渡そうとした時、生徒会御庭番が動き出した。
「毒川先生。あなたの悪事、見事に見抜きましたよ」
黒い短髪をパサパサさせた
「初めまして殺し屋さん。目良です」
殺し屋は胸元の銃を取り出そうとするが、いきなり体が硬直する。
彼はふざけているわけでは無さそうだ。
「いけませんよ。そんな物騒な物を学校で使用するのは」
生徒会御庭番は殺し屋と毒川先生を拘束し、学校刑務所に彼らを運んだ。
生徒会御庭番の中には、木原さんのような人物もいた。
「せっかくテープボールで周囲の逃げ道を塞いだというのに」
木原咲良は静かに事件現場から立ち去り、その現場を見ている神崎の背後に現れた。
「初めまして。木原です。このことは秘密でお願いします」
神崎は一瞬驚いたが、木原咲良はすぐにどこかへ消えた。
ーー不思議な一日だった。
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