第6話 迷路エリア
神崎と月島は捕まらないように周りをよく見ながら歩いた。だが、1年生のほとんどは捕まっている。
神崎と月島は今、旧校舎一階の廊下にいる。ここは既に使われなくなった方の校舎で、誰かがいる気配は無い。
「いたぞ」
神崎と月島は体育教師に見つかってしまった。 その体育教師は岡崎。彼は100メートルは5秒で走る。
「逃げるぞ」
神崎と月島は、廊下を全力で走っているが、岡崎先生は速いので200mほどあった距離が、一瞬で20mほどまで縮められた。
「速すぎだろ」
神崎翔は月島さんをお姫様抱っこし、開いていた窓から外に飛び込み、瞬時に窓を閉めた。
だが岡崎先生は窓を割って、外に飛び込んできた。
「おいおい。それは反則だろ」
岡崎先生はスピードを緩めることなく神崎と月島を追う。
ーーこのままでは逃げられない。
この学園には多くのエリアが存在する。迷路エリア。食堂エリア。運動エリア。などなど。
そして神崎翔たちは今、迷路エリアの近くにいる。
「行くしかない」
神崎と月島は迷路エリアに逃げ込んだ。迷路エリアは街並み自体が迷路になっていて、誰かが住んでいてもおかしくない住宅街が広がっている。
それにこのエリアはとても広い。制限時間が来るまでは、ここで逃げきれるだろう。
「月島さん。あの教師は追ってきてるか?」
神崎におんぶされている月島は、背後を見るが、誰もいない。
「いいや。もういない」
神崎と月島は、木造の建物と建物の間で呼吸を潜めながら身を潜めていた。
安心していた矢先、体育教師は3階分はある木造の建物の屋根から飛び降りてきた。
「いつの間に登ったんだよ。それに何でこの高さから飛び降りて死なないんだよ!」
月島は思ったことはすぐ口にするので、声を漏らしていた。そんな月島に、体育教師の岡崎が迫り来る。
「さあ。成績1になってくれるかな?」
岡崎先生はじわじわと近づいてくる。あと10歩で捕まる距離。
神崎バレる覚悟で、空中に文字を刻む。
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