全校鬼ごっこ編

第5話 全校鬼ごっこ

 神崎翔は学校に行くと、必ず月島さんと話した。月島さんとの会話は面白く、話していてずっと一緒にいたいと感じている。


「噂なんだけどさ、この学校では成績を一瞬で1にする行事があるらしいよ」


 どの科目の成績も5段階評価で、AからCの評価を付けられる。


 ピーンポーンパーンポーン


 校内放送の時に流れる音楽だ。


「一年生の皆さん。入学おめでとうございます。ですが、楽しみはこれからです。これより、全校鬼ごっこを始めたいと思います」


 その放送が流れた瞬間、神崎たちの教室に1人の教師が入ってきた。


「お前ら。これから鬼ごっこを始める。鬼は教師だ。そして捕まった場合、そいつの体育の成績を1にする」


 どうやら月島がうわさは本当らしい。だとしたら捕まったら本当に成績を1にされる。


「それでは、全校鬼ごっこ開始です」


 放送の女の子が「開始」と宣言した瞬間、教師が生徒を捕まえだした。

 捕まった生徒は捕まえた教師が名簿にチェックをつけていく。


「神崎くん……」


 月島は怯えていた。


 ーー月島さんはこの前言っていた。成績を全て5取らなければ親がファッションデザイナーになることを許してくれないと。


 1分も経たない内に、20名以上が捕まっている。生き残っている神崎たちは窓際まで追い詰められた。

 神崎はふと窓の外を眺める。真下には走り高跳びで使うマットがひいてある。


「月島さん。俺を信頼してくれるか?」


 月島はうなずいた。だが月島は何をするのか知らない。


「じゃあ行くぞ」


 神崎は月島をお姫様抱っこし、3階から校庭にあるマットに向かって飛び降りた。


 そして…


書く魔法ライティングマジック 魔法No.5 物体浮遊レビテーション


 神崎は空中に"物体浮遊"と文字を刻んだ。すると、神崎はフワッとマットに着地した。そして魔法を解除する。


「大丈夫か?」


「神崎くん。ありがとうね」


 危機一髪を回避し、月島と神崎は安堵していた。


「神崎くん。私についてきて」


 神崎は月島に案内され、校庭を走り去った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る