褪す日
秋の灯に込めた風車が、小さな手の上で回っている。昔話についていた、牡丹の薬を煎じている老医の背中。筆で描かれた小川が松風で揺れる館の一画は、産み出された富の泊まり場として。升で浸す田園と泥の温かく昇る村の端で、空が赤くなること未だ見ぬ私も、また昔物語に容されたいのだ。
海を識らない。怯えた蒼さはない。悠然と流れる霞に親しい寝所を離れて、月の小船が行く雲が港だった。
瞳に寄り添い散った、織り末の日記帳。
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