錯る
綿帽子を照らし、夜街に浮かんだ小さな鉄塔。道は濡れているのか、折れる目処のない塔を仰ぎ、夜の暗さを忘れている。月が針のような光を差し出した路地の先には、石畳みが砕けて響く橋と街。
その昔に、展べる枝が毛細血管となる冬の夕日は落ちた。枯れたススキに虚く掬われる淋しい私は、雨上がりの熱には逢えず、1人だった。松皮が赤く染まる林を出で、生きた姿が沈黙を守る掟を知る。高い空には、睨むすじ雲のみが残されて。突き放された霞の外で、濡れた私は1人だった。
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