Lord of Closed areas / 閉鎖区の王

第24話 解放区と閉鎖区


 2046年以降、東京都は大きく分けて二種類の地域に分類されており、旧来の市区制は機能していない。地名として辛うじて残っている程度だ。何故ならレベル5発症者が発生する都度、ウィルス汚染された発生現場周辺地域は閉鎖されることが法令により定められているからである。


 高濃度汚染地区――通称、閉鎖区。


 それ以外の地域は解放区と呼ばれ、「第○○区」といったように番号を割り振られ呼ばれている。


 閉鎖区には人間はいない。

 あくまでも「公的には」だが、そういうことになっている。

 実際には閉鎖区にも人は住んでいる――

 

 閉鎖区に住む人間の大部分は金銭的な、あるいは理由で解放区に住居を持てない者たちだった。彼らは閉鎖区のビルや住宅を不法に占拠し生活をしている。

 残りはそんな彼らを相手に商売をする密売人であった。


 持たざる者と、持たざる者から搾取する者が蔓延はびこる閉鎖区の状況は、中流以上の生活をしている人々の目に映ることはない。決して映ることはないのだ。

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