第11話 Zodiac関連報告資料より抜粋


 Zodiacとは西暦2040年に世界各地で同時多発的に発見された特殊感染症の略称である。と同時に感染レベル5に至った発症者を指す言葉でもある。


 正式名称はZombify infectious Diseaseである。

 発症者は単一の症状の他に、十二の特殊な形質のいずれかを発現することから、黄道十二星座ゾディアックになぞらえられたため正式名称よりもZodiacの名で巷間に浸透した。


 個々人の感染状況に関して検査による判別は困難を極め、擬陽性・偽陰性の可能性が常に付きまとう。また、発症からZodiac化までレベル1から5までの段階を経るがレベル3以降は不可逆性を有しているとされる。少なくとも現代医療ではレベル3以上の発症者の治療は不可能。


 発症レベルについては以下の通り。

 レベル1:眩暈、発熱、目の充血など他の病気ともとれる症状。

 レベル2:空腹に由来しない極度の飢餓感。

 レベル3:意識の混濁。呼吸障害。

 レベル4:全身の痙攣及び瞳孔散大。

 レベル5:食人衝動の発現。血液体液による飛沫汚染。何れか特殊形質の発現。


 対処方法。

 発症レベル5つまりZodiac化した発症者には国際法によって処置が認められている。各国政府の組織する衛生班によって適切な隔離及び殺処分も可とする。銃火器の使用によって機動力を削いだ上で確保、専用施設に収監が最も望ましいとされるが、現場経験者からは噴飯ものの戯言でしかない、といった苦言が多数報告されている。

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