第17話 奴隷解放
ぼろぼろの
浄化は不純物を取り除くスキルだ。その中には毒素や病原体も含まれる。
しばらくすると小野が意識を取り戻した。
「あれ!?あんた日本人だったのか!?」
(なんか警戒されてるっぽい?)
『その格好のせいでは?』
小野は強スキルもちだし正攻法で戦えば俺でも勝てないほど強い。だって職業が勇者だもの。
これほどの猛者を捕縛できる者はこの街では昨日の暗殺者ぐらいのものだろう。
「あー、なんか勘違いしてるっぽけど、この黒い装備は昨日殺した奴から奪ったものだからね」
「あいつを!?よく勝てましたね……」
たまたまだけどね。右腕を失ったし。
小野からは後程話を聞くとしてとりあえず奴隷たちを解放することにした。。
鉄格子には鍵がかかっている。
(何かいいスキルない?)
『どんな鍵でも開けることができる解錠というスキルがあります。金庫にも鍵がかかっていましたし丁度いいのでは?』
五万円でスキル解錠を購入する。
鑑定で確認する前に隠形に組み込まれてしまった。
増えたスキルを眺めるのが好きだったので整理整頓をソラに与えたのは失敗だったかもしれない。
金庫の中には債権の束と大量の金貨が入っていた。
金貨だけを収納すると一千万近くあった。
これはいい商売になるかもしれない。
悪者以外に手を出すつもりはないので自責の念にかられることもないだろう。
大事をとって奴隷に浄化と応急手当をかけていく。
小野を含めて12名の奴隷を解放したが一つ問題がある。
(彼らの手の甲に刻まれているのは隷属の紋だっけ?消すにはどうしたらいい?)
『隷属魔法か解呪、どちらかのスキルで消すことができます』
(安い方は?)
『同額で五百万になります』
先行投資と思って泣く泣く解呪のスキルを購入した。
元奴隷たちを地下室から出す前に確認しなければならないことがある。
奴隷落ちした理由を尋ねておかなければならない。
嘘を認識することができるスキル看破を五万円でついでに買っておいたのだ。
その結果、一人を除くとみな借金奴隷であった。
殺しで奴隷落ちした元盗賊の男は始末して地下室を出た。
一階の広間でみなに食事を振舞うことにした。
ポテトにコーラをつけただけのハンバーガーセットだったが元奴隷たちには大好評のようである。
(ソラ、ギルドで売っている装備品は本当に俺以外は着れないの?)
元奴隷たちはリネン製の膝上まである上衣一枚羽織っているだけだ。
「うう……、ハンバーガーをまた食べられるなんて……」
『それは転売防止の措置なので市場価格であれば購入することは可能です』
「こ、これは!?コーラか!おおお!」
(ならハーフローブ、下ジャージ、それから肌着と靴はこの商館の使用人と同じ物を人数分用意してくれ)
「イルマくん!おかわり!」
「うるさいぞ小野!こんなに小さい子でも静かに食事できるというのにお前という奴は!」
十歳前後と思われる少年は目をぱちくりとさせてこちらを見ている。
俺があまりにも簡単に人を殺すので元奴隷たちから恐れられていたようだが、自分たちには危害を加えないとわかったのか警戒を解いてくれたようだ。
追加注文した山盛りのハンバーガーを長テーブルの上にのせる。
「みんなおかわりは自由だから好きなだけ食べてね」
俺はみなが食事をしているあいだに装備一式を配って回った。
元奴隷たちは小野に託すことになった。
偽造スキルを持った仲間がいて身分証を用意できるらしいのだ。
餞別に金貨一枚(一万円)を手渡して、元奴隷たちは商館を後にしていった。
俺はというとまたぞろマップと睨めっこである。
『イルマはまた貧乏になってしまいましたね』
(まだ四百万以上残ってるから貧乏ではない!)
『え?ほぼゼロですが?』
(はい?服と食事代だけで百万もいかないでしょ?)
『あのジャージはこの世界の技術では作れないモノなので非常に高額になります』
(……言ってよ)
ポンコツ可愛いソラは平常運転だ。
赤い点は動かない。
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