第10話 ソラ

 時空干渉を発動しながら森の中をひたすら走る。


 ゴブリンの集落から離れるにしたがって普通の魔物と遭遇する割合が増えてきた。


 あの辺りはゴブリンの縄張りだったのかもしれない。


 もちろん見かけた魔物は狩ってゆく。


 ゴブリンは冒険者ギルドで売却。ただし魔石だけはキープする。


 他の魔物は収納してある。街に着いたら売値を調べて高いほうに売ればいい。


 



 スライム、ゴブリン、森兎の他にも魔物はいる。


 獣型の魔物である魔獣でいうと、森猪フォレストボア森熊フォレストウルサスなどがこの辺りには生息している。


 そして虫型の魔物である魔虫だが、こいつらはまじではやばい。


 日本の虫と比べてかなり大きい。カマキリとか猫ぐらいのサイズがある。


 俺にはでかい虫というだけでもう無理だ。


 しかも硬くて生命力もある。カマキリなど首を落としてもまだ動いていた。


 鉄のこん棒で止めを刺したら魔石ごと粉々になってしまったので今では見つけても無視している。


 俺はこうやって狩りをしながら森を出るために走り続けた。





 太陽が中天に差し掛かるころようやく森を抜けることが出来た。


 時空干渉を使っていたから数時間で森から出られたが、普通の時間の流れだったら何日かかっていたかわからない。


 ギルド内の自分の部屋で何度仮眠をとっただろうか。


 寝るときも時空干渉は発動したままだが当然途中で魔力が切れて気絶する。


 しかし起きた時には魔力が回復しているのでまた走り出す。


 それの繰り返しだった。





 森から出られたことだし昼休憩をとるために冒険者ギルドに入る。


 脱出記念としてソラに値段を気にせずに好きなだけを注文をさせた。


 デザートが多い気もするが俺も甘いものは嫌いじゃないのでよしとする。


 魔石を除いたゴブリンの売却益だけですでに所持金が五百万円を超えているので多少の贅沢は許されるだろう。


 「ところでさ、ソラのレベルが上がると何が変わるの?」


 「単純に演算能力が上がります。そしてレベルが10上がるたびにスキルを一つ習得することができ、さらに並列演算できる数も増えてゆきます」


 さすが神が直々に創った俺専用のスキルというだけはあるということか。


 「つまり!Lv20を超えている今のわたしは二つスキルを覚えることができ、かつそれを同時に使うことができるというわけです!」


 「すげーな……、で覚えるスキルはどうする?」


 「一つ目は並列思考でお願いします」


 「その心は?」


 「これはLvの無いスキルで、二つのことを同時に考え実行できるというものです。わたしの中にもう一人のわたしがいると思ってください。人工知能のスペックの底上げが出来ます」


 「なるほど……、もしソラが風属性魔法を覚えたら空を飛べたりできないかな?」


 「わたしの行使するスキルはイルマのステータスに依存するので今は無理です」


 (今は無理でも将来的には空を自由に飛べるようになるのか……、やべーな!)


 「イルマの習得しているスキルから移すことも可能ですが、有効活用できそうなものは今のところないので二つ目のスキルは後回しでもいいですよ。お金も貯めないといけないですしね」


 「んー、なにか安くて使えそうなスキルってないかなー」


 「では……、耳掻きでも覚えましょうか?」


 ソラに耳元で囁かれてしまった。


 「……うん」


 (耳掻きスキルのなかには膝枕も含まれるのだろうか)


 『ご希望がございましたら何なりと』


 俺にもやっと春が来たようだ。


川越入間かわごえいるま、18歳、冒険者

ステータス補正値

 生命力Lv7

 魔力Lv21

 身体能力Lv16

 精神力Lv7

スキル

 「人工知能ソラLv28」→「並列思考Lv―」「耳掻きLv1」

 「時空干渉Lv25」

 「衝撃波Lv16」

 「浄化Lv3」

 「応急手当Lv1」

 「身体強化Lv11」

 「冒険者ギルドLv―」

 「収納Lv―」

 「鑑定Lv―」

 「地図Lv―」

 「言語翻訳Lv―」

 「暗視Lv―」

 「消音Lv―」

 「消臭Lv―」


 


 


 


 

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