第5話 冒険者ギルド②

 ギルド内には時計がかかっている。


 スキルの作成に思いのほか時間がかかりすでに昼を回っていた。


 「とりあえず何か注文しようかな」


 ファミレスのような佇まいの席に着きメニューを開くとこちらの世界の料理ではなく向こうのものが食べられるようだ。


 ビッグマックセット(500円)を注文するとなぜか二セットをソラが秒で持ってきた。


 「……、なぜ二人分?」


 「わたしの分ですがなにか?」





 ハンバーガーを食べながらソラに尋ねる。


 「武器とかも買えるんだよね?」


 「ひゃい。えうが今は買えあえん(はい。ですが今は買えません)」


 (ソラってこんなキャラじゃないんだけどな……)


 「ごくっ、実物の得物を納品してからでないと商品に並びません」


 「……、つまり森から出るまでは敵を倒して奪った武器を売ってからでないと購入はできないと?」


 「そうなりますね。ですが一度でもギルドに収めてしまえば、あとは手数料一律百円のみで購入することができるようになります」


 すべて百円?森を抜けるのは大変そうだが街にさえ着いてしまえば……


 「ちなみにギルドで購入した武具を転売することはできません。イルマ以外の者は重くて持ち上げることさえ不可能でしょう。イルマ専用装備となっております」


 (ちっ!こいつギルド内でも俺の心の中読めるんじゃないのか?だが……)


 「ギルドで購入した物をギルドで売ることもできませんよ!」


 「ですよねー。知ってたよ!」





 外に出て魔物を探す。


 スライムはゲーム序盤に出てくる魔物である。他に思いつくものといえばウサギやゴブリンだろうか。


 マップを開くと目の前に正方形の画面が現れた。


 使い方はスマホと同じようだ。拡大収縮、透過性までいじれるようだったので視界の邪魔にならないように薄くして脇のほうへ移動させた。


 限度一杯まで収縮してやっと森の切れ目が見て取れた。


 (いくらなんでも広すぎるだろ……)


 軽く絶望したが気持ちを切り替える。


 とりあえずこの世界というかこの国の名前はわかった。


 ここはカナン帝国の迷い人の森というらしい。





 「学校が始まるまでには日本へ帰りたかったけど無理そうだな。一億貯めるころにはおっさんになってるかもしれん」


 『時空干渉を使えば老化を遅らせることはできます』


 「逆じゃないの?俺以外の世界が緩やかになれば相対的に俺自身の時間の流れは早くなるでしょ?」


 『ええ。ですから時空干渉を内向きに使うのですよ。その場合魔力消費はわずかで済み魔力回復のほうが上回るので常時発動可能です』


 「まじでか、時空干渉すげーな」


 会話しながらマップを元に戻すと蛍光色の点が二つ増えていた。


 俺は青色でマップの中央に表示される。


 マップの端に赤い点が動いており、もう一つは俺のすぐ近くで緑色に点灯していた。


 そして目の前ではウサギが草を食んでいる。


 


 




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