第4話 冒険者ギルド

「冒険者ギルド」・消費スキル「冒険者ギルドを作ろう」「プレイストア」

              「ホーム」「スマートペイ」「銀行アプリ」

              「アマゾーン」「出前アプリ」「電卓」

              「テレビ」「Yカード」+ その他 


 文鎮と化していたスマホが名実共に霧散した。


 『それではさっそく冒険者ギルドのなかへ入ってみましょう!』


 「入れるんだ……、で、どこから入るの?」


 『念じればどこからでも入れますが地面に入り口を開くのは危険です。天井から落ちてしまいますからね!』


 (冒険者ギルド)


 とりあえず声に出さずに唱えてみる。


 目の前の空間が切り取られたかのように入り口が現れた。


 中に入るとずいぶんとこじんまりした印象を受けるが俺個人のものとして考えると十分かもしれない。


 正面の受付にはなぜかソラがにこにこしながら待ち構えており、左手には買い取りのカウンター、右手に飲食ができるスペースが設けられている。


 受付嬢のコスプレ姿のソラのもとまで行く。アニメ通りの青い髪に青い目をしている。


 「本日はどのようなご用件でしょう?」


 (……、)


 このコントみたいな茶番に付き合わなければならないのだろうか。


 「ぼ、冒険者登録にきたんだけど」





 ギルドカードを発行してもらうところまでつつがなく終える。


 これはこの世界で身分証として使えるとのことだ。冒険者ギルドが存在しないのになぜと思ったが、少し面倒になってきたので聞き流した。


 スキル「冒険者ギルド」についての説明を受ける。


 中に入らないと出来ないことは、宿泊(二階に部屋がある)、食事、武具売買、ソラと会うこと。


 外でそのまま使える機能として銀行業務や魔物や素材の買い取りがある。これは収納してソラに頼めばやってもらえる。


 ちなみに依頼や冒険者ランクはないそうだ。冒険者が俺一人なので当然だろう。





 「あとはスキルの購入ができます」


 (ん?)


 最後にとんでもないことを言い出したぞこの娘は。


 「スキルは覚えられないんじゃなかったの?」


 「覚えられませんよ?ですが冒険者ギルドで購入することができます」


 買って使えるようになるなら、それは覚えることが可能ということではないのかねソラさんや。


 タブレットのようなものを操作してスキルを見てゆく。


 (安いものでも一万円からか)


 どうやら価格順で表示されているようだ。目当てのものを探す。


 (あった。無属性魔法十万円か……、結構安い?―――そして火属性魔法百万?一気に跳ね上がったな)


 本命のスキルを探すがなかなか見つからない。


 (お、ソートできるのか)


 値段が高い順に変更したところそれはすぐに見つかった。


 (転移……一億円……)


 「ソラ、スライムを倒したらスライムゼリーという素材になったけど、あれを換金したらいくらになる?」


 「さっきのスライムはおよそ1kgですから、グラム百円なので千円になりますね」


 (スライム換算で十万匹か……)


 「当然強い魔物を狩れば買い取り価格は上がるよね?」


 「上がりません。どんなものでもグラム百円になります」


 価値がありそうなものは人里に出るまでギルドには売らないほうがいいかもしれない。


 日本への帰還が叶うのはまだまだ先になりそうだ。




 


 


 

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