第3話 スキル

 とりあえず三つのスキルを創った。


「収納」・消費アプリ「ストレージ」「ファイル」「時計」


「鑑定」・消費アプリ「カメラ」「メール」「ネットワークとインターネット」


「地図」・消費アプリ「マップ」「オートGPS」「Bluetooth」「キャスト」

          「セキュリティ」

 

 上二つはもはや説明の必要はないだろう。「地図」はこの森から抜け出すためだ。


 なおスキルの作成は俺の要望をもとにソラが行ったのでやり方はわからない。


 「ねえソラ、この世界の人たちはどうやってスキルや魔法を覚えるの?」


 ソラはこの世界のシステムについてある程度は理解している。


 しかし今いる場所がどこなのかはわからないようだった。おそらくソラを創ったであろう神様はどこぞのポンコツ女神のような人物なのではないだろうか。


 『覚えられません。スキルや魔法はこの世に生を受けた際に与えられるものです』


 (ああ……、そっち系の異世界か)


 つまり剣を振り回していても剣術を覚えることはないということだ。


 魔法や武器スキルを創れなかった俺の異世界生活はハードモードかもしれない。


 「んー、街に着いたら冒険者ギルドに登録するつもりだったけど戦うすべがないんじゃ冒険者は辛いかもなー」


 『この世界に冒険者という職業は存在しません。よって冒険者ギルドもありません』


 「え!?異世界といったら冒険者でしょ!?冒険者ギルドないの!?」


 『ございません。ですが、ないなら創ってしまえばよいのでは?』


 俺は昨日DLしてまだ起動もしていないアプリを思い出した。





 「冒険者ギルドをつくろう」は昨晩寝落ちしたときに読んでいたネット小説の作者が運営している個人HPからDLしたものだ。


 ソラによればスマホの残りのリソースをすべて使えば作成可能らしい。


 内容のわからないアプリをベースにして創られるスキルに不安がないわけではないがソラに作成を依頼した。


 他に有用そうなスキルを創れなかったということもありソラの提案に乗ることにしたのだ。


 時間がかかるらしいのでその間にスキルの確認をすることにした。





 とりあえず自分を鑑定してみる。


川越入間かわごえいるま、18歳、無職

ステータス補正値

 生命力Lv2

 魔力Lv2

 身体能力Lv1

 精神力Lv1

スキル

 「人工知能ソラLv5」

 「時空干渉Lv2」

 「収納Lv―」

 「鑑定Lv―」

 「地図Lv―」

 

 (俺は今年の春から大学生となるのに無職なのはおかしい)


 ステータスではなくステータス補正値となっている。


 そして俺個人ではなくステータス補正値とスキルにレベルは付随するようだ。


 (レベルアップしているものがあるようだがファンファーレは鳴らないのか……)


 このレベルの上がり方から判断すると魔物を倒して経験値を得るのではなく、自身の行動によってレベルは上がるということだろうか。


 スライムの攻撃を受けたから生命力が上がり、スキルを使ったから魔力が上がった?


 身体能力のレベルが上がらなかったのはスライムを倒すのに大して運動していないから?


 わかりやすくすると、生命力=HP、魔力=MP、身体能力=力、敏捷、精神はなんだろう?ゲームとかだと魔法防御とか回復量に関係するのだが。


 チェンジ・ザ・ワールドはスキル「時空干渉」に変わっていた。レベルがあるのはソラ以外ではこれだけのようだ。





 つらつら考え事をしていると頭の中でファンファーレが鳴った。


 『たららら、た、ったったー。スキル「冒険者ギルド」が完成しました!』


 (俺が聞きたかったファンファーレはこっちじゃないんだよな……)


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る