第3話 廃校のクラスメイト

早良:

「ところで、クラスに生徒って何人いたんですか?」


石和:

「これ、当時の写真です」

 石和が持って来ていた写真をテーブルの上に置いた。女性教師を中心に子供達が前後二列に並んでいる集合写真で、入学式や始業式とは違ってすまし顔もなく、ありのままを切り取ったなんとも微笑ましい一枚だ。


石和:

「これを見ると、男子が九名、女子が十一名の二十名ですね。多分、これが全てのクラスメイトなのだと思いますが、ちょっと記憶が曖昧です」

「ちなみにこっちの写真は幼稚園を卒園する時の集合写真で、男子が二十五名、女子が二十一名の合計四十六名です。このまま小学校では二クラスに分かれたので、やはりひとクラスは二十名ちょっとだったのだと思いますよ」


文木:

「思っていたよりは少ないなぁ」


石和:

「軍艦島は人口密度が世界一だったことが有名ですが、ピーク時が五千人でも私がいた時はその半分くらいでしたし、そのうちの子供の数となれば知れてはいますよね。まぁ、周囲一キロほどの狭い世界に沢山の人がいたので、みなさんには人が溢れかえている印象になるとは思いますけど」


早良:

「当時のクラスメイトと会ったりしているのですか?」


石和:

「残念ながら・・・・・・私は誰とも会っていません。幼くしてみんなとは離れ離れになってしまったこともあり、別れの際に連絡先を教え合うこともありませんでしたから」

「今からでも、SNSなどの力を借りれば連絡を取れたりするのかも知れませんね。でも、皆んな五十歳過ぎになってる訳で、早ければ孫がいたりして。自分も白髪頭になっちゃったし、会いたい様な会いたくない様な・・・・・・」


 石和が言う『SNS』とはソーシャルネットワーキングサービスの略で、インターネット上で人と人のつながりや交流が行える交流型のサービスで、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などがその代表だ。


早良:

「やはり、気になりますか?」


石和:

「気にならないというと嘘になりますかね。もう会うこともないのだろうけど。みんな私みたいに島の思い出を語っているのかな・・・・・・なんてね」

「他の人にはこうして、ちょっとした思い出話しを喜んでいただけるのですが、当の私達は案外普通に生活していただけですしね。私みたいに思い出を語って聞かせている人はいないかも知れませんね」


文木:

「いやいや。まぁ、そんな風に考えないで沢山語ってくださいよ。さあ、もう一杯」

 文木が早良のグラスにビールを注ぐ。


文木:

「学校のこと、また少し聞かせてもらうね」


「そうだなぁ~学校に給食はあったんだよね?」

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