第216話


「ダンジョンの中に入るのは、翌日からだ。まずメンバーを決めるのと、俺たちは装備を整えるのもあるな」


「装備?」


なんだろ。アメリカの兵士の服に着替えるとか?

いや、それはさすがに無いな。隊員さんはいつもの自衛隊の恰好でいくだろうし。


「今回、俺たちがするのは特大ダンジョンだ。島津であれば普段の装備でも問題はないだろうが……用意しておくに越したことはない」


「確かに」


ああ、そうか。特大ダンジョンなのね。

なんだっけ、身体能力があがる……それこそドラゴンカードみたいな効果がついてるんだっけ?

さすがにそこまでいくと、つけたほうが良い気がするね。


これもアメリカが用意してくれるんだろうか? それとも自前?

自前だとかなーりポイント使う気がするんだけど、どうすんだろ。


50人分の装備揃えるのって、半端じゃなくポイント使うと思うんだけどなあ。



まあ、ついたら現地で話あるじゃろ。

さ、ねよねよ。寝ておきたらアメリカだ!




「飛行機の後は車かあ」


ついたけど、まだ移動しないといかんみたい。

さすがにちょっと疲れてきたぞう。


「3時間ぐらいで着くようだ」


「地味に遠いな」


2~300キロぐらい離れてるんかね?

アメリカの速度制限とか知らんから、いまいち分からんね。


道中は初めてきた土地ということもあり、風景を眺めるだけでもそれなりに時間を潰すことができた。

体感的には思ったより早く目的地へとたどり着く。


「ダンジョン周辺の施設を借りてるみたいっすね」


「そこで寝泊りするのかな?」


「ああ」


特大ダンジョンができたのは、それなり規模の街中らしい。

ダンジョン周辺には日本と同様に、関連する施設が作られ、もしくは借り上げているようで、俺たちが泊まる宿もそこにあるそうだ。



「なんかずいぶん立派なホテルで……」


わー。

超でけえホテルだ……プールとかついてるんですけど、ここ泊まっていいのか。


嬉しいけど、立派すぎて逆に落ち着けなさそう。

そのうちダンジョン引きこもっちゃうぞ。


……まあ、ぼーっと見ていてもしかたない。とりあえず荷物置くかね。



すごい上の階だったわ!

無駄に広くて豪華な部屋なもんで、これを一人で使うのはちょっと……いや、かなり気が引けるぞ。

寝るだけならぶっちゃけ四畳半もあれば十分なのよな。


まあ、用意してくれた以上は泊まるっきゃないけど……荷物おいて集合場所に向かうか。



集合場所……まあ、一階のロビーなんだけどね。ロビーに向かうとそこにはもう隊員さん達が集まっていた。はやいよ。


「14時から顔合わせだ。その後はこれからの予定について説明。そして飯だな」


ふむふむ。


「ダンジョンは明日からなんすね」


まだ昼だから、てっきり潜るのかなーと思ったら、違ったんね。


「移動で疲れているだろうと、気を使ってくれたんだろう。一応な」


なるほど。

確かにずっと移動だったし、疲れてはいるもんなあ。

ポーション飲めば肉体的な疲労は消えるけどね、精神的な疲れはなかなかね。

空港の人ごみの中を移動したりとか、荷物もって順番待ちしたりとか、結構疲れるんよ。



とりあえず顔合わせだっけ? さくっと終わらせて、ご飯にしたいところである。

説明中うっかり寝そうなのが怖いね。



時間になったので、隊員さん達の後ろをついていくと、何やらちょっとしたホールに案内された。

立食パーティーとかやる場所? そんな感じのところだ。


俺たちが入ったときには既に先客がいた。

まあ、アメリカのダンジョン攻略組だね。その数ざっと……200人ぐらい? 結構いるね。



「みたことある面子がいるなあ」


その中には、前に日本のダンジョンにきた人の姿もあった。全員ではないけど……半分もいないかな?

隊長の……なんだっけ、ウィリアムさんだったかは居る。あと、俺とクロに突っかかってきた例の隊員もいた。なんか雰囲気変わってるねえ、すっかりベジタリアンになってそう。あ、目が合った……青くなって顔そらしおったで。俺は悪くない。


まあ、知り合いがいるのは助かる。

あの隊長さん日本語も話せたし、通訳通さなくていいのはありがたい。

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