第212話

ハニトラ回避のために、既婚の人ばっかで構成すっぞーって話なもんで。

でも北上さんと俺独身よね? じゃあ、二人を付き合ってるか結婚してるって偽っちゃえば良いじゃない! となっているのだ。


いやー。まいりましたねー。

そういう理由であれば受けない訳にはいかないですしー……まあ、なんとかいうかありがとうございますって感じだ。


色々と思惑がありそうな気はするけど、てか隠してすらいない気がするけど、ここは大いに乗っかってしまおうと思う次第であります。


青春時代を野郎に囲まれと過ごした奴をなめるんじゃないですよ。

自分からアタックする勇気なんて早々出てきませんわ。ハハハ!


まあ、そんな訳で今回に限ってはアメちゃんに感謝しているのである。


それこそ一度だけじゃなく、これからも定期的に開催されるように協力したいぐらいだ。


気合入れて狩りまくっても良いし、なんなら何人か引き連れて、訓練の名目でダンジョンの踏破階層の更新しちゃっても良い。


向こうが望むのであれば、訓練とかだって付き合っても良い。

教官を望むのであればやっても良い。


そこでばっちりこなして、向こうに良い思いをさせてやれば……次回もぜひ、となるに違いない。


ああ、でもあっちのレベルを引き上げちゃうと、もう自分たちで勝手にできるからもういいやってなるか?



ふむ、であればむしろ逆に……。


ボッコボコのボッコボコにしてフルボッコにして、心を完全に折ってしまうのもありか。

そうすれば、そのうちまた似たようなお仕事がくるんじゃないか? 我ながら良い考えだと思う。


ああ、でもやりすぎて恨みを買うのは頂けないな。

何か贈り物でもして、ご機嫌を取っても良いかも知れない。


何か、こう心安らぐ……猫耳尻尾セットでいいな。

多少ポイント高めだけど構うもんか、どうせならお偉いさん方の分も用意しておこう。


またこういった催しをやりましょうね、とゴマ擦っておこうじゃないの。



……ふむ?


やっぱ思考がおかしい気がする。

どこがどうとは言えないけど、やっぱこの肉やばいな。


あとで中村に食わせよう。



「どうかした?」


「ん、あ、いえ。楽しみだなーって思って」


おっと、つい考えこんじゃってたか。

思考読まれてなきゃいいけど、いやー、なんか恥ずいなっ。



とりあえず、その後お腹が落ち着いたところで解散になった。

スタングレネードについては、北上さんのほうから上の方に聞いてみた貰えることになったよ。

すぐに使えるかは分からないけど、とりあえず聞いたみた感触についてすぐ連絡くれるそうな。


ありがたやありがたや。



家に戻ったら、なんかイースがふてくされてた。

知らんがな。



そして翌朝。


起きてリビングに向かうと、クロがパソコンに向かいなにやら作業をしている光景が目に入る。


「クロ、なにを……メールかな?」


ぺしぺしとキーボードを叩き、クロは何やら文章を打っていた。

うーん。嫌な予感がする。


「まじで飛竜でちゅーるを? え、大丈夫なのか」


予想通りというか、メールの内容は先日倒した飛竜を使ってちゅーるを作って欲しいとメーカーにお願いする内容だった。


……お願い?


『近いうちに新素材を持っていくから、準備しておくが良い』


そんな感じの文章なので、お願いと言うかこれ、実質命令よね。

クロさん怖いわー、メーカーさん下僕扱いですやん。さすがお猫様。


まあでも、メーカーさんとしても例のちゅーるの売れ行きが半端ないらしいし、それに普通のちゅーるもクロの監修が入ったもんで、ますます売れに売れと、かなーり利益出ているので、決して悪い関係にはなってはいない。


てか、相手がクロなのでむしろ進んで下僕扱いを受けてる感すらある。



「1体確保しにいくぞーって……ま、まあ良いけど。一応北上さんの連絡まってからでも良い?」


複の裾をくいっと引かれ、視線を向けるとクロが「うなー」と訴えてきた。

勿論異論はない。ただ出来れば何か対策してからのほうがいいなーと思うのですよ。


出来ればスタングレネード、ダメでも超強力なライトを持っていくとかね。

昨日ちょいっと調べてみたんだけど、どうもとんでもなく強力なライトがあるらしいんだよね。

近距離で照らすと紙に火がつくとか、そんな市販していいのかってレベルのやつ。


あれなら飛竜の目を眩ますことが出来るんじゃないかなーって思うのだ。



ま、とりあえずは北上さんの連絡待ち……と思ったら、スマホが震えだす。


「ん、もうきたぞ」


噂をすればなんとやら。

北上さんからメッセージが届いた。


「使って良いよーだって。えらいあっさり許可でたなあ」


お偉いさんが手をまわしてくれたのかな?

お互い、持ちつ持たれつってことだけど、ありがたいことだ。


どこかの基地に取りに行けば良いのかなって思ったら、どうもダンジョンの休憩所にある隊員さんの拠点の中に在庫があるんだそうな。まじかよ。


そんな危険なものが身近にあったとか知らんかった。



とりあえず、朝食を軽く食べて、クロと一緒にダンジョンの休憩所に向かおう。

あ、軽くなのはまたブレスぶっぱしなきゃいけなからだね。もうリバースしたくありませぬ。




休憩所に向かうと都丸さんが既にいて、スタングレネードを用意してくれていた。


「そんじゃ使わせてもらいます。ありがとうございましたー」


「おう、気を付けてな」


使い方のレクチャーをざっと受け、あとは道中で試しに使えばなんとかなるだろうと、飛竜討伐に向かうことに。



「とりあえず普通のドラゴンで良いかな」


試すなら、同じ竜が良いだろうと言うことで、21階のドラゴンにぶん投げてみることにする。

こいつに効くのであれば、おそらく飛竜にも通用するだろう。


21階について、少し歩くと早速ドラゴンを見つけたので、とりあえずやってみよう。

音を立ててこっちに注意を向けて……よし、こっち向いたな。


「せいっ」


開幕ブレスがくるとスタングレネードが燃えちゃう可能性があったけど、こいつは走ってこちらに向かうことを選択してくれた。


ぶん投げたスタングレネードは放物線……ではなく、一直線にドラゴンの鼻っ面へと向かい、すさまじい閃光と爆音を巻き散らかす。


「うぉっ!?」


眩しっ!?

うっかり見ちゃったよ! くっそ、注意されてたのに。


「あ、なおった」


一瞬目が焼かれたけど、1秒かそこらで元通りだ。

再生能力はここでもばっちり効果を発揮したらしい。ぱないな。


まあでも飛竜の再生能力はそこまでじゃないし、視界が戻るまで多少時間掛かるんでないかな。

ドラゴンものたうち回ってるし、良い感じだ。


おっしゃ、さっそく飛竜にもつかってみよう。

まってろよー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る