第116話
しっかし本当に厄介な敵が多いよなあ。
「初見殺し……ってほどでもないけど、きっついねえ」
今回の敵は基本能力はそこまで高くないにしろ、もし障壁を持っていなければそれなりのダメージを受けていたと思う。
まだ即死ダメージが来ないだけましだけど、この先どうなるかは分からないね。
「障壁はもう必須だな。本当」
障壁もってない人はそのうち詰むんじゃなかろうか。
早めに強化素材入手できてよかったと思う。
……そう言えばカードは人数によってドロップ率変わるんだよな。
もしかすると強化素材とか宝箱も影響あるのかな?
……ありそうだな。クロと二人で潜ってて本当に良かった。
「ところでこいつどこを剥げば良いんだろうね……この腰布だけ?まさかそんな事はないよね」
倒したのは良いけど、こいつって装備らしい装備を持ってないんだよね。
一応腰布だけはあるけど、こんなの持って帰りたくない。
……いや、まあ重要な装備ではあるんだけどさ。ないとちょっとばかし悲惨な光景を見るはめになるし。
「ちょっと素材っぽい雰囲気あるし、腕持ってくか」
んで唯一まともに売れそうなのが、不可視の腕である。
生きてた間は本当に透明な腕だったんだけど、死んでからは薄っすらと輪郭が見えるようになっていた。
根元にいくほど色が濃い感じ。
根元からぼりって感じで捥いでしまえば、折りたたんでバックパックにすっぽり入るサイズとなった。
「片腕3万オーバーか……細いし、割と量持って帰れるから美味しいかも」
休憩所に戻ってさっそく端末で売ってみると、なんと片腕で36000ポイントになった。
両腕あるので1体で72000ポイント貰えることになる。
サイズ的にそれなりの量を持って帰れそうなので、かなりポイント的においしい敵だね。
「遠距離攻撃メインでいくかなー……ダメージ覚悟で行ってもいいけど、それだと数が多いと障壁が切れちゃうしなー」
問題は戦闘をどうするかだけど、相手が1~2体ならまったく問題はないと思う。
遠距離攻撃でさくっと倒すか、数発くらうの前提でごり押しするかで行けるはず。
問題となるのは障壁が切れてしまう時とMP切れかな。
あとはナイフも一度投げると回収しないとだから……ちょっとこれは試しに何度かやってみて考えるかな。
「うーん。ごり押し素晴らしい」
ごり押しで行けたわ。
障壁って時間経過で回復するっぽいから、何発かくらっても突破されることは無かったんよね。
これがもっと強い敵がくるとごり押しは出来ないけど……こいつならこれで行けちゃうな。
この手の敵でもっと強い敵が出たらまずいけど……それまでに対策は考えておくよ。
「腕が大量だー。いっぱいポイント稼げそう……ケーキでも食べてく?」
バックパックがぱんぱんになるぐらい腕が集まった。
て言うか結構な数剥ぎ取らずにそのままである。
かなーりポイント稼げたし、クロと一緒にケーキ食べてしまおう。
クロもケーキは気にいってたし……あ、そうだ。
「せっかくだからアップグレードしちゃお」
ポイントいっぱいだしね。
もっと美味しいケーキが食えるだろうし、この使い道にはクロもにっこりである。
「いろいろあるねえ」
アップグレードしたんだけど、内装とかはあまり変わらなかった。
ただケーキの種類はかなり増えていて……ちょっと多すぎて何がなんだか分からないってぐらいにはある。
一応系統別に並んでるから、クロ用かどうかで迷うことはないんだけどね。
「ケーキ1個に2000ポイント……これ、首相たち買えるのかな?あ、500ポイントのも残ってた」
あとは必要ポイントが滅茶苦茶増えてた。
かなり高級そうなケーキがあったんだけど、前のケーキの4倍以上に増えてたし。
これだけ高いと首相とか隊員さんが食えないんじゃない?と思ったけど、以前のケーキも残ってはいたのでそこは一安心だ。
「我々がどうかしましたか?」
「ひぇっ」
一安心とか言ってたら!
無音で入ってくる仕様なんとかならないかな……かなりびびったぞ。
「お久しぶりです、笹森首相。施設をアップグレードしたんですが、高いケーキだと一つ2000ポイント以上必要だったんですよ。それで俺たちはともかくほかの人は中々手が出せないかなーと気になりまして、はい」
別に変なお話してた訳じゃーないですからねっ。
「おお、種類が増えたのですか……これは、一つ3400ですか。確かにまだ手を出せないですね。とても美味しそうなのでいずれは試してみたいところですが」
「一日にせいぜい稼げて、4人で1万ポイントだかんなあ……ちょっと厳しいもんがあらあな」
……ん?一つ3400ってどう言うことだ?後でアマツに聞くか。
てか、首相たちってばチュートリアル突破した後もダンジョンに潜ってたんね。
てっきり筋トレだけかと思ったらそうじゃなかったのか。
ちなみに首相たちの体だけど、以前みた時より二回りぐらいムキムキになったとだけ言っておこう。
「あ、もしかしてまだダンジョン攻略続けているんですか?」
「ええ、どうせならと思いまして……とは言ってもまだ6階から先には進めて無いですが」
そろそろ次の階層に行けそうです。と笑みを浮かべる首相たち。
日本のお偉いさんはずいぶんアクティブですねえ。
「ところで島津さん、実はご依頼したい事がありまして」
おおう?なんだろう……首相じきじきの依頼とか怖いんですけど。
てか、笑顔が変わらないのがもっと怖い。
一体何を依頼されるんだ……?
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