第115話
そのへん気になったので尋ねてみると。
「ああ、そのへんは問題ないよ。距離なんてあって無いようなものだし、それに俺が直接相手しないとダメって訳じゃないからね」
「ほほー」
なるほどー?
「家の地下にダンジョンみたいな広大な空間があるとかおかしいでしょ?ま、そう言う不思議空間なんだよ、ダンジョンって。俺と同じ思考をするコピーみたいのも用意できるし」
「とりあえずそれで納得しときます」
きっとファンタジーな空間があれしてあれなんだよ。
たぶん何かしら原理があるんあろうけど、説明されても分からない……てか説明してくれるか分からんし。そんな凄い技術をさらっと漏らすとは思わない。
て言うか聞いちゃったらダメな気がするので聞かないでおくのです。
まあ……いい時間になったし、そろそろ戻りますかね。
と言っても帰ってご飯食べて、あとは寝るまでだらだらコースだけど。
そんな感じでその日は一日だらだらと過ごしていたのだけど、翌日からはちゃんと気合入れて攻略進めてるよ!
「2週間か。それまでには次の階層……いや、2階層ぐらい行っておきたいなー。ちょっと無理くさいけど」
ミノタウロスもそろそろ群れで来ても大丈夫になりそうだし、そうなったらカードを確保して次の階層にいける。
そこから海外組がチュートリアル突破するまでにさらに次の階層も突破してしまいたい。
と、言うわけで今日も張り切ってダンジョン攻略進めようと思いますっ。
午前中の狩りを終え、休憩所へ戻ると隊員さん達とばったり会った。
向こうも狩りを終えたところらしく、これから汚れた装備をクリーニングしたりシャワー浴びたりするそうだ。
昼飯を一緒に食べる約束をし、俺たちも装備をクリーニングし装備をしまいに個室へと向かった。
「隊員さん、結構苦戦してるっぽいなー」
装備を放り込み、クロにそう話しかける。
隊員さん達の装備だけど、ほつれてて血がにじんでいたのだ。
おそらくオークにやられたものだろう。
それだけ気合入れて攻略してるって事なんだろうけど……うにゃうにゃと返事を返すクロの頭を撫で、個室を出る。
「無茶してないと良いんだけどねー」
あまりやり過ぎると大けがしたりとかが怖い。
俺たちも頑張るつもりだけど、無茶じゃない範囲で頑張ろう。
無茶じゃない範囲で頑張ること数日。
俺たちはミノタウロスの狩りを止め、次の階層へと続く部屋へと向かっていた。
いつも通り遠距離攻撃もちか確認するが、今回の敵も遠距離攻撃もちでは無いと分かった。
ただ……。
「うーん、顔が怖い」
顔が怖いんだよね。
いかついとかじゃなくて、ちょっとホラー的な意味で怖い。
外見はほっそりしたオーガの様で、色はこげ茶。
体長はミノタウロスより少し低いかな?それでも3m超えてると思う。
腕がちょっと長いかな……リーチ結構ありそう。
あとは背中になんかコブみたいのあるけど、あれは何だろうね。
で、特徴的なのがそいつの顔で……人っぽいんだけど、目が妙に大きくて黒目もやたらとでかい。鼻は鷲鼻で大きく、口も横にでかくて……ずっと笑みの形になっている。
ちょっとあまり見たくない感じだ。
慣れれば平気なのかもだけどね……ま、それは置いといて戦ってみるとしよう。
単純な見た目で言えばミノタウロスのほうが強そうだけど、こいつの方が深い階層に居るってことは、こいつの方が強いって訳で……特殊能力が厄介なんだろうなーと予想してみる。
盾を構え、部屋に入るとそいつはジリジリとこちらへ近付いてくる。
これも今までになかったパターンだなあ。
ジリジリと近づいてきて、射程に入った瞬間そいつは腕を横なぎに振るってきた。
ただ、速度はそれほどではなく、盾じゃないと間に合わない!って訳じゃなかったので、俺もクロも問題なく避ける事が出来た。
力も確認するため、あえて盾で防いでみたりもしたけれど、この程度か……って威力だった。
「ミノよりちょっと強いぐらい……?」
少し戦った感想はそんな感じだった。
……ただ、さっきも言ったけど深い階層にいる以上はミノより強いはず。
よほど厄介な特殊能力持ちって事だろうね。
……なんて思った直後だった。
「っ!?」
別に敵が腕を振るった訳でもないのに、衝撃が襲ってきた。
幸い障壁を破ってくるほどの威力ではなく、ダメージは無いが……これがこいつの特殊能力か。
「クロ、見えない攻撃してくる!距離とって!」
不可視の攻撃とか厄介すぎる。
見えない以上は防御しようもないし、何度か食らえば障壁が破れてダメージ食らうことになる。
その不可視の攻撃は、それほど射程がないのか距離をとると食らう事はなくなった。
ただ、こちらの攻撃も届かないので、そうなると魔法なり投げナイフで戦うしかない……MPの消耗が厄介だなあ。
せめてうっすらとでも良いから見えれば話は変わるけど、あいつの攻撃を可視化するなんてそんな方法は……あったかも知れない。
「クロ、同じとこに火球!」
ちょっと閃いてしまった。
俺はその考えを実行するため、そいつの足元に氷礫を放ち、クロに指示をだす。
氷ついた個所にクロの火球があたり、あたりに蒸気が立ち込める……って、程ではないが、それでもそいつを覆うぐらいには蒸気が出てくれた。
「おっし、微妙に見える」
不可視の攻撃の正体は、あいつの背中のコブから伸びている、もう一対の腕だった。
うっすらとで見えれば、盾で防ぐなり、回避するなりは出来る。
そして基本能力でミノと大差ないそいつは、その後あっさりと沈む事となった。
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