第20話


「改造の項目を開いているし、改造の項目を説明しよう。 装備の名称に触れてくれるかい? 敵を倒すとレベルアップして肉体が強化されることは知っての通りだけど、装備も同じでね。 さらに装備の場合追加で改造して強化する事も出来るんだ」


「おお」


レベル上がると装備も強化されるのか。

言われてみれば鉈とかまったく研いだりしてないのに問題なく使えてるしなあ。 切れ味とか落ちてる感じしなかったのはレベルアップによる恩恵なのかな。


「今改造できるのは武器であれば強度、切れ味、重量、形状かな。防具であればまた違う項目が出て来る、それは後で色々確かめると良いよ。 改造できる回数もが決まっていて、装備レベル1毎に1回となっているね。 あと改造にはポイントを消費するから頑張って溜めてね」


「おー……」


予想通りと言えば予想通りだけど、そこまでぶっ飛んだ強化は出来ないのかな。

残念っちゃ残念だけどバランス考えると仕方が無い……よね。



「それとね条件を満たすと素材を使って強化出来たりもする、その場合は特殊な効果が付くから楽しみにして欲しい」


「おぉぉおお」


あったわ!ぶっ飛んだ強化。


とは言え付く効果次第だけれどねー……そして条件と素材ね? 条件はレベルと特定の階層まで攻略するとかかな……素材は何だろうね、宝箱から出るようになるのか、それとも敵から剥ぐのか……剥ぐのかー、ちょっとやだなあ。


「次は修復かな。 これは名称から想像できる通り、痛んだ装備を修復出来るよ。 折れた剣なんかもばっちり直せるから安心してね。 あ、修復にはポイント掛かるよ」


ふむふむ。

便利だねこれ。


俺の装備はまだ壊れてはいないのだけど、結構傷だらけではあるんだよね。 犬に噛まれまくったから手袋とか腕まわりが特に酷い。


壊れたら買えば良いと思っていたけれど、装備にもレベルがあるのなら修理して使い続けた方が良いからね。


あ、でも良い装備をポイントで買えたりするのならまた話は変わってくるか。あと宝箱の中身がどうなるかも。


聞いてみるか。


「はい! 質問いいですか?」


「勿論だとも!」


嬉しそうだなあ。


「ありがとうございます。 えっと、装備って今のを使い続けた方が良いんでしょうか? それともポイント買った方が良かったりするんでしょうか? あと、宝箱の中身って変わります?」


「んん、難しい質問だね。 ……まず、ポイントで買える装備は君達が日常で買える物と比べて性能は良い傾向にある。 中には特殊な効果が付いている物だってあるしね」


難しい質問だったのか。


ふむふむ、基本性能は買った奴の方が良いと。

何かデメリットあるんだろうなあ。


「でもポイントで買った物は素の性能が良い物ほどレベルが上がりにくい。 つまりカードスロットが少ないんだ。 なので私としてはカードを豊富に揃える手段があるのなら今の装備のまま。 そうじゃないならポイントで買った物をお勧めするかな」


「あー」


なるほどねえ……これはカードを入手できる確率次第かなあ。

0.1%とかそれぐらいなら何とか……? 1階層に4桁は敵倒しているし。 


「例外もあるのだけどね」


「おおう?」


例外とな?


「宝箱の中身だけど、チュートリアルを突破したことで一新されているんだ。 中には装備が入っている事も有る。 そして……宝箱からはポイントで買えない特殊な装備が出ることもある」


「なっるほどー」


レア装備ってことか!

なるほどなるほど、攻略する側の心理をよく分かってますな。


そんな目の前に人参ぶら下げられたら張り切るっきゃないよね。



「こんなところかな?」


「ありがとうございますー!」


すっごい理解できましたとも。





「最後は施設だね。 これはポイントを消費して1階の休憩所をアップグレード出来る機能だね。 個室も作れちゃうよ」


「あ、良いですねこれ」


もしかすると調理設備とかあるかも知れない。

あと電源とか。


ちょっと飲み物欲しいなーとかスマホの充電とかいちいち上に戻るの面倒だったしね。


ざっとしか見てないけれど施設ってぐらいだから色々あるっぽいね。

でも……。


「……ちなみに猫用の施設もあったり?」


「あははは! ……いいよ、追加しておこう」


「ありがとうございます!」


やったぜ。

言ってみるもんだねー。





「機能については今はこれぐらいだね、今後色々追加されていくから楽しみにしておいてよ」


色々追加か、そう言えばテスト中だったもんね。

つまり俺はテストプレイヤーってところか。


うむ、欲しいのあったらガンガン要求しちゃおうかな。通るかは別として。



「あとはそうだね……注意事項として、このダンジョンについて誰かに……チュートリアルを突破していない人に情報を伝えようとすると、制限が掛かるようになっているよ。 その情報を制限するかは状況を見ながらこっちで判断するね。 ああ、制限といっても君が何かする必要があるって訳じゃないから安心して。 そんなに気にしなくても大丈夫だよ」


情報の制限かー……チュートリアルまでは自力で前情報なくクリアして欲しいのかな? どうやって制限するのかは分からないけど、俺から誰かに話すつもりは今のところ無いし、たぶん問題ないでしょ。


「以上、簡単だけど説明終わり。 何か聞きたいことはあるかい?」



聞きたいこと聞きたいこと……色々あって思い出せないぞ。


えっと……なんだっけかな。気になってたこと。




「えっと……ダンジョンって小とか極小とか種類があるんですよね? これの違いって何なのかなーって」


ダンジョンの種類についてちょっと気になってたんだった。


「まずダンジョンの大きさが違うね、部屋の広さとか色々。 次に出て来る敵の種類も数も違うよ。 大きくなるほど数が多くなって敵も強くなる」


大きさ以外も違うのね。

ここは極小ダンジョンだから、敵の数が少なくて弱いと。


「なるほど。 じゃあここのダンジョンって比較的難易度低いのかなー?」


実際1階の敵とかただのネズミだったからなあ。

ちょっと弱すぎてモンスターと言うか普通の動物だよね、あれ。


と、アマツの話しを聞いてここのダンジョンは難易度低いのかと思ったのだけど、どうも違うらしい。


アマツは大袈裟に首を振ると話を続ける。


「いいや、そんな事はないよ。 ダンジョンによって持ち込める装備に制限があるのさ。 ここだと強力な装備は持ち込めないからね、装備が違うと同じ敵を倒すのにも苦労するよ」


「あー……確かに、よく分かります」


装備まじ大事。


装備で制限掛かるのか。

強力な装備ねえ……大剣とかボウガンとか? いや、違うか。 銃とかかな、たぶん。



銃か、アメリカとかだと一般人も持てるんだっけ?


日本だと自衛隊と警察ぐらい……あ、猟師もか。

でもまあ使える人限られてるよね。でっかいダンジョンは攻略するの大変そうだ。



「他に何かあるかい」


「いえ、特には」


色々あった気がするけど、説明聞いている内にどっか行っちゃったぜ。はははん。


「そうかい、まあ何かあったらまた聞きに来ると良いよ。 基本暇だからね。 あはははっ!」


そう言うとアマツは笑いながら消えていく。

猫用の施設を準備しに行ったのかなー。


しかし、思っていたよりずっと変わったキャラだよなあの人。

人って言って良いのか分からんけど。


「……戻るか」


まあ、説明は聞けたし一度戻るとしよう。

クロが目を覚ましてお腹空かせてるかもだし。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る