第2話 岩田美月

 日本の東北地方上空を飛んでいる時、僕のセンサーが反応した。

 僕は二人の女の子を見つけた。

 カフェで女の子が二人でお喋りをしている、僕の好きな設定だ。


 栗色の髪の毛の女の子と、黒髪の女の子だ。

 二人にマーキングをした。

 マーキングをした人間は、天使のタブレットで様子が見れる。


 人間界にも林檎マークの付いたタブレットがあるらしい。

 天使のタブレットは、天使の輪マークだ。


「要はのぞき見かよ」パールが白い目で云った。ブローチだが。

「下品な云い方はやめてくれ、着替えや入浴といった場面は映らないようになっている」僕は断言した。


「マーキングも投げキッスとか、お前どんだけ」パールが可笑しそうに云った。

 僕はシカトした。


 まずは栗色の髪の毛の女の子からだ。

 名前は岩田美月みつき、二十七歳。恋人はいない。



―岩田美月の心―

 最近裏アカウントを作った。

 表アカウントはフォロワーの目ばかり気になって本音を呟けない。

 

 SNSはいつもそうだ。最初は愉しいのに段々息苦しくなる。

 フォロワーというよく解らない関係の人たちを繋ぎとめる呟きをする。

 時々本音を呟いたり、RTをするとフォロワーが減る。誰が減ったのかは見ない。

 数字が減るのは怖い。私の事はどうでもいいんだって思われたみたいで。


 だからとりとめのない事を呟く。SNSは、そういう場所。

 とりあえずSNS上では、お洒落オタク風キャラの私。

 男の子は実際、漫画やアニメが好きだから。

 男の子に人気の作品は一通りチェックしている。

 けれども叶奈かなおススメのアニメは本当に面白いと思っている。


 最近、和香子が結婚報告をしてきた。勿論表面上ではおめでとうって云ったけれども、実際は違う。

 阿弓は妊娠報告をしてきた。本当は、胸がチクチクする。

 アラサー女子という単語には、複雑な意味が込められている。

 

 私と違ってガチオタクの叶奈が羨ましい。

 本当に愉しそうだし、自分が好きなファッションや髪型をして、IT系のボーイフレンドが居る。


 私は、精一杯「お洒落に見えるように」している。

 自分が着たい訳じゃない。

 お洒落に見えるように、男の子の目を引くように。

 それが目的のファッションをしている。

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