天使のポイント

青山えむ

第1話 半端な天使とパール

 僕は天界に住む半端な天使。

 そう【ちゃんとした】天使じゃない。

 まだ学生だ。クラスには優秀な天使もいる。

 僕は優秀じゃないので、半端な天使と呼ばれる。

 

 人間の【幸せ】の手助けをする事でポイントが貯まるような制度だ。

 クラスの優等生は「まさに天使」といった方法で、ポイントを貯めている。

 聞いても僕には真似が出来ない。センスがあるのだろう。


 とりあえず僕は、女の子にモテたい。

 クラスの女子は、優秀な天使の周りに集まる。

 僕の所に来る女子は「最近新しいお菓子食べた?」というお菓子情報目当ての子ばかりだ。

 僕はいつでも女の子とお茶が出来るように、新しいお菓子やカフェをチェックしている。


 しかしここ数十年、僕のモテレーダーに変化は無い。

 いつだって優秀な天使がモテる。

 そろそろ視点を変えてみよう。人間界の女の子はどうだろう。

 人間の【幸せ】が、僕ら学生天使には基準なのだから。


 僕は人間界の女の子を観察しに来た。

 お目付け役は小さな天使、あだ名はパールだ。

 あだ名の由来は、昔好きだった女の子の誕生石らしい。


 パールは昔、大天使の怒りを買って小さくされた。

 天使の手伝いをして少しずつ【徳】を貯めると、元に戻れるらしい。

 小さくされたのも女遊びが原因という噂だ。女遊び……正直少し羨ましいが、僕はそんな事はしたくない。多分。

 パールはブローチになり、僕の胸元に居る。


 僕は日本の北側に来た。

 この辺は色白の女の子が多いという噂を聞いたので。パールもまんざらでもない。

 僕たちは飛んでいるが、人間の目には見えない。

 少し田舎の方が良いと思ったので、山や森が多い県を目指した。


「何で田舎?」パールが聞いてきた。

「自分で自分の魅力に気づいていないような女の子が魅力的なんだ」僕は答えた。


「あー分かるかも。垢ぬけた女は同じ顔に見えるからなぁ」パールが云った。

「女の子、と表現したまえ」僕は少し厳しい声で云った。

 

 天使は両性と云われているが、僕の周りはそうではない。

 天使だって感情があるし性別がある。

 クラスでモテるとかモテないとか、そんな事を気にしている。


「お前、俺よりよっぽど女の子好きだわ」パールが笑いながら云った。

 僕はシカトした。

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