第13話 トオル「やっぱり、ムスメイトバトルは面白いや!!!!」

 僕たちは研究室にあるリングの目の前に移動した。

 レイジとツバサは自分のムスメイトと手を繋ぎ歩く。

 二人の姿を見てトオルは心底、羨ましいと思った。

 

 案内についていくと、ロープに囲まれた四角形のリングに人一人が立てるくらいの島があるリングが用意されていた。


「よし、二人とも準備が出来たらマスター席に立つんじゃ。」


「よっしゃ! レイジ手加減抜きやで!」

「分かってるよ。」


 レイジはどこからか帽子を取り出し被る。


「へへっ、やっぱ戦いにはこいつが必要だぜ。」

「そんな、帽子が役に立つんかいな。」


 二人は島の上に立つ。


「それでは、くぅとエリーもリングに入るんじゃ。」


 もそもそとリングに上がり、それぞれのマスターの前に立つ。


「ムスメイトへの支持は全てムスメッセンジャーを使うことで行うことができる。バトルボタンがあるじゃろ? そこでは技の発動、応援(攻撃行動、防御行動、その他の行動)を支持できる。重要なのは技の発動のタイミングと、どれだけムスメを的確に指示と応援ができるかじゃ。二人とも頑張るんじゃぞ。」

「それでは……おっほん。レフェリーは儂がやろう。 ルールは1on1、ノーアイテム、応援無制限! いざ、ムスメイトバトル〜~~ファイトォォオオオ!!!」


 こうして、レイジとツバサの初めてのムスメイトバトルが始まった!


「まずは先制攻撃もらうぜ! エリー、《たいあたり》だ」

「しょうがないわね。」


 エリーは勢いよく、くぅに向かい走りだす。結構な威力だ。まともに当たってしまうと一撃で終わってしまうかも知らない。


「くぅ、〈避けろ〉」

「りょうかいよ。」


 くぅはエリーの特攻を華麗に回避した。

 エリーは体当たりの攻撃が避けられるとすぐにくぅに向かい体制を立て直した。


「くぅ、《はたく》や!」


 既に体制を整えてる相手に無謀な攻撃をツバサ君は支持する。


「わかったわ!」


 くぅの振られた腕は空を切った。


「そんなのあたるわけないじゃない!」


 エリーがレイジの指示もするまでもなく、回避に成功してしまう。

 回避をした後、敵から目を離さんと顔を向ける。

 エリーの視線とくぅの視線が重なったタイミングでツバサが声を上げる。


「今や! 《にらみつける》!」

「うにゃ!」


 エリーの動きが一瞬びくっとして完全に止まってしまった。


「この勝負、もろたわ!!!」

「おぉ! ツバサ君、すごい!」

「よっしゃー!!! ばっちし決まったで!! くぅ、最後に《はたく》や!」

「ひゃぅう!」


 エリーの小さい悲鳴が木霊する。


 ――決まった!!


 トオルとツバサとくぅが勝利を確信したその瞬間。


「ふっ……甘いぜ。ツバサ! エリー、《まるくなる》、そして〈防御〉だ!!」


 レイジの合図で動きが止まっていたエリーが小さく身体を丸める。そしてくぅのはたく攻撃を真っ向から防御してしまう。

 ぱちんっと気持ちいい音を響かせてくぅの攻撃を耐えてしまった。

 顔を上げたエリーの顔には闘志を燃えあがっていた。

 攻撃の反動でくぅは動きが止まってしまう。


「やるじゃない! れいじ。」

「エリー!! トドメだ!《たいあたり》!!!」

「うん!!」

「はにゃ!!!」


 エリーはバトルの最初に使った体当たりをくぅにぶつける。

 くぅは飛ばされてしまい、「むねん……」と呟き、気を失ってしまった。


「勝者、レイジ&エリー!!!」

「よし!!! エリー!!! よくやったぜ!!」

「ほめてもらってもうれしくないんだからっ!」


 ツバサとレイジはリングに上がる。

 そして、自分のムスメイトに近寄る。

 ツバサはくぅを抱きかかえ、レイジはエリーと抱き合う。


「くぅ……レイジ、次は負けんぞ!」

「ははは、次も俺が勝つよ。次に戦うときは俺はもっと強くなってるからな。」


 二人の戦いはレイジの勝利で幕を閉じた。

 二人の戦いを目を輝かせてみていたトオルは決意を新たにするのだった。


「やっぱり、ムスメイトバトルは面白いや!!!!」

「はっはっは。良き青春じゃのぅ。それじゃ、ムスメを回復させて、旅立ちを見送るとしようか。」

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