第4話 ホンダ「君もムスメが好きなんじゃな!」

「君もムスメが好きなんじゃな!」


 トオルと助けてもらった後、ホンダと話をしながら林の外へと向かう。

 ホンダも隣町に用事があり、向かっている途中だったらしい。

 トオルの叫び声を聞いて慌てて駆けつけてくれた事を教えてもった。

 そのため、一緒に隣町まで向かいながら話しをしていた。


「うん! 本当はホンダさんにもずっと会いたかったんだけど…… カーさんが駄目って…… カーさんはムスメが嫌いみたいなんです……」

「そうか。そうか。色々な考えはあるからのぅ。確かにムスメは危険な存在じゃしのう、お母さんの気持ちも分かるぞ。」

「やっぱり危険なんですね…… そういえばさっき僕を助けてくれた子は?」

「あの子もムスメじゃよ。」


 そう言いながら、博士は機械を取り出し操作をする。

 PON!っと眩い光と共に先ほどの少女が現れる。


(さっきの助けてくれた子だ。)


 そう思ったのも束の間、ポニーテールを揺らしながら少女がホンダに飛びつき甘えた声で割り込んでくる。


「はかせぇ、なでなでしてぇ」


 博士に対して上目遣いがちに頭を向けて、ポーズをとる。


「博士、その子は?」

「この娘はムスメ。【熱血ポニーテール】というノーマルムスメなのじゃ。じゃが、人と絆を結んだムスメイトなのじゃよ。」

「さっき僕を襲ってきたムスメとはなんか雰囲気が違いますね。」

「野良のムスメは人を餌としか見ていないが、ムスメイトは人のパートナーだからのぅ。」


 博士は立ち上がると、ポニーテールの少女の頭を撫でると、薬指につけた指輪の宝石をポニーテールのムスメにあてがう。

 すると、ムスメは光の粒子となって消えてしまった。


「何それ!? 何それ!?」


 ホンダ博士は驚くトオルに優しく微笑み、教えてくれる。


「これは、ムスメイトと一緒に居るための道具【ムスメイトリング】というのじゃ。ムスメイトをこのリングの先端に着いた宝石の中に入れる事が出来る。マスターとムスメイトは常に一緒に居ることが出来るのじゃよ。」

「へぇー。凄いなぁ!!」


 未知の道具を扱う博士にトオルの眼は光っぱなしだ。


「どうじゃ? 明日、儂の家に来ないかのぅ?」

「良いんですか!?」

「明日はレイジとツバサ君がくる予定になってるでな。」

「そうなんですね! 何かあるんですか?」

「二人の旅立ちを祝して、旅を共にするムスメをプレゼントするのじゃよ。」

「えっ!? 僕、それ知らない……」


(レイジとツバサ君がホンダさんと事を聞いていたけど、もうそこまで話が進んでるんだ……)


 だいぶ差をつけられてしまったのだとトオルに暗い顔をする。

 トオルの中にも焦る気持ちが出てきた。

 歳は同じくらいなはずなのに……遠く離れた存在になったんだと改めて実感した。


「じゃからのぅ、儂もムスメが好きな友人が減ってしまい悲しいんじゃ。少年が友達になってくれると嬉しいのぅ。ムスメが好きな君が儂の友人になってくれれば、儂も寂しくならずに済みそうじゃ。」


 博士は頬を掻きながら優しい微笑みを絶やさずに友人になろうと言ってくれた。それが無性に嬉しかった。

 だからトオルも笑顔でホンダに返答をする。


「はい! 僕の方こそ宜しくお願いします!」


 年は何倍も離れてるけど優しいホンダさんと友達になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る