第3話 トオル「何それ!? 何それ!?」

「ほっほぅ、レイジの友達か。しかし、君もムスメが好きなんじゃな!」


 話を聞くと、ホンダも隣町に用事があり、向かっている途中だったらしい。

 僕の叫び声を聞いて慌てて駆けつけてくれた事を教えてもった。

 そのため、一緒に隣町まで向かいながら話しをしていた。


「うん! 本当はホンダさんにもずっと会いたかったんだけど……カーさんが駄目って……カーさんはムスメが嫌いみたいなんです……」

「そうか。そうか。色々な考えはあるからのぅ。確かにムスメは危険な存在じゃし、お母さんの気持ちも分かる。」

「やっぱり危険なんですね……そういえばさっき僕を助けてくれた子は?」

「あの子もムスメじゃよ。」


 そう言いながら、博士は機械を取り出し操作をする。

 PON!っと光と共に先ほどの少女が現れる。


(さっきの助けてくれた子だ。)


 そう思うのも束の間、ポニーテールを揺らしながら少女がホンダに飛びつき甘えた声で割り込んでくる。


「はかせぇ、なでなでしてぇ」

「博士、その子は?」

「この娘もムスメ。熱血ポニーテールというノーマルムスメなのじゃ。じゃが、儂と絆を結んだムスメイトなのじゃよ。危険はないよ。」

「さっき僕を襲ってきたムスメとはなんか雰囲気が違いますね。」

「野良のムスメは人を餌としか見ていないが、ムスメイトは人のパートナーだからのぅ。」


 博士は立ち上がると、ポニーテールの少女の頭を撫でると、薬指につけた指輪の宝石をポニーテールのムスメにあてがう。

 すると、ムスメは再び光の粒子となって消えてしまった。


「何それ!? 何それ!?」


 ホンダは驚くトオルに優しく微笑み、教えてくれる。


「これは、ムスメイトと一緒に居るための道具【ムスメイトリング】というのじゃ。ムスメイトをこのリングの先端に着いた宝石の中に入れる事が出来る。マスターとムスメイトは常に一緒に居ることが出来るのじゃよ。」

「へぇー。凄いなぁ!!」


 未知の道具を扱う博士にトオルの眼は光っぱなしだ。


「どうじゃ? 明日、儂の家に来ないかのぅ?」

「良いんですか!?」

「明日はレイジとツバサ君がくる予定になってるでな。」

「そうなんですね! 何かあるんですか?」

「旅立ちを共にするムスメイトをプレゼントするのじゃよ。」

「えっ!? 僕、それ知らない……」


(レイジとツバサ君がホンダさんと事を聞いていたけど、もうそこまで話が進んでるんだ……)


 だいぶ差をつけられてしまったのだとトオルに焦る気持ちが出てきた。

 歳は同じくらいなはずなのに……遠く離れた存在になったんだと改めて実感した。


「じゃから、儂もムスメが好きな友人が減ってしまい悲しいんじゃ。少年が友達になってくれると嬉しいのぅ。ムスメが好きな君が儂の友人になってくれれば、儂も寂しくならずに済みそうじゃ。」


 博士は頬を掻きながら優しい微笑みを絶やさずに僕と友人になろうと言ってくれた。それが無性に嬉しかった。だから僕も笑顔で博士に返答をする。


「はい! 僕の方こそ宜しくお願いします!」

「良かった。儂の方こそよろしくなトオル君。っとどれどれ町が見えてきたぞ。」


 薄暗い林を抜けて僕たちは隣街まで到着した。

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