85.装備強化

「えっとなんだっけ? 魔力さえあれば修復できるんだよな?」


【おう。オレが知る限りじゃそうだったぜ。まっ、スキルじゃなかったし違ってても知らねーけど】


「そこは一緒であってほしいな」


 俺は壊れたキリエの腕輪を机の真ん中に置く。

 そして、腕輪に向けて魔道具作成スキルを発動させた。

 元々は魔法だった名残なのか、スキルを展開すると魔法陣が出現する。

 最初は疑問すら抱かなかったことも、ベルゼから話を聞いてわかるようになった。


【どうだ?】


「あぁ~ これはたぶんいける」


 魔力を注ぎ込むと、腕輪の修繕が開始される。

 どうやら修理するだけなら、ベルゼの言うように魔力があればいけるらしい。

 ただ、これが結構持っていかれる。

 もしかすると、作成にかかった分と同じ量を消費するのかも。


 五分後――


 修繕には時間がかかるようだ。

 スキル発動中はまったく動けないので、異様に肩がこる。

 続けてミアとキリエの武器も作成する。

 ミアの武器に関しては、普通の剣に能力を付与するだけも良かったが、今回は一から造ることにした。

 というのも、良い素材が手に入ったからだ。

 それをバックから取り出し、机の上に置く。


【ドレイクの牙か】


「そう。今日のクエストで余った二つだね」

 

 少しだけ説明しておく。

 最後の一匹を探し、戦闘を開始した俺たちは、近くにもう一匹いることに気付いた。

 気付かれないように戦っていたけど、思いのほか距離が近すぎて、結局二匹と交戦になったんだ。

 それを何とか討伐して、手に入れた牙は十二個。

 納品で十個は消えたけど、二個だけ余ったので、武器の素材にしようと俺が引き取った。


「ロックドレイクの牙は色んな武器に使われてるからね。せっかくだから、二人の武器もこれで作るよ」


【ほ~ん、まぁ良いんじゃねーの】


 ミアの剣には再生能力を付与するとして、キリエの槍には何をつけようかな。

 そういえば以前に、キリエが言ってたっけ。

 

 この槍が伸びればいいのに~


 とか何とか。

 丁度いいから、魔力を注いだ分だけ伸びるようにするか。

 これで遠距離の敵にも対応できるぞ。

 なんてことを考えていたとき、ふとある提案を思いつく。


「そうだ。どうせなら一つじゃなく、複数の能力をつけたいな」


【おっ、いいんじゃねーの? 属性とか付ければ、戦いを有利に進められるかもな】


「属性か~ それぞれの特徴に合った属性を付与すれば、個人の強さもより際立つ! 考えてたら楽しくなってきたぞ」


【そいつは何より。ただよぉ~ そうなってくると素材が足りねーだろ?】


「そこは集めるしかないな」


【まぁそうか。そんじゃ、先に付与する能力をリストアップしたらどうだ? そうすりゃー必要な素材もわかんだろ】


 ベルゼの提案に頷き、リストアップを始める。

 ミアとキリエの武器だけじゃなくて、ユイとミレイナの分も考える。

 ついでも自分の弓もグレードアップしよう。

 そういえば、いろんなエリアに行きたいって話も出ていたし、素材集めにはピッタリなタイミングかもしれないな。


 色々と考えが浮かんできて、作業は深夜まで続いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る