第23話
今日は朝から雨が降りしきり、じめっとした空気が部屋の中を覆っている。
どんよりとした陽気に加えて、休日ということもあり、俺と萌恵奈はお互いを抱き枕にして惰眠を謳歌していた。
そう言えば、インフルエンザとかだと湿度に弱いという話をよく耳にするけれど、今回のウイルスは気候的な変化に対して何か弱点はないのだろうか?
飛沫感染がメインである以上。あまり大気中に含まれているウイルスに関しては気にしなくていいのかもしれないが、その辺りも今後の研究によって解明されれば、こちらとしても安心して外に出られるというもの。
最近、ネットや動画サイトでも、過去のスポーツの印象深いシーンや、音楽番組などのアップロードを公式が行い、なんとか今の危機を乗り越えようとして頑張っている印象が強い。
テレビも苦肉の策で総集編と名指して、流行ったドラマの名シーン振り返り集を行ったりして場を凌いでいる。
ニュース番組では、ゲストコメンテイターは自宅からリモート出演したりなどして、テレビ局内での感染を防ごうと語力している姿が見受けられる。
最初は違和感しかなかったけれど、人間慣れればリモート出演など当たり前になってきて、今では見慣れてしまった日常の一部となった。
このように、新たな生活様式が取り入れられていき、人というのは気づかぬうちに慣れていくものなのだろう。
俺と萌恵奈の新たな恋人としての関わり合いも同様に、始めた時はどっちつかずであたふたしておぼつかないながらもキスしたりイチャイチャしていたが、今となっては慣れたも同然。当たり前のように心も身体も萌恵奈とのイチャイチャを受け入れている。
しかし、慣れというのは恋人においては一つの懸念材料でもある。
同じことを繰り返すことによるマンネリ化。
自分は、本当に萌恵奈のことを愛していて、萌恵奈に愛されているのだろうか?
分かってはいても、不安になってしまう。
人は恋愛においても、さらに高みを望もうとして新たな刺激を求めようとする。
つまり、この外に出れないご時世、家の中でイチャつくスキンシップの方法を模索し始めた方が良い時期に差し掛かっているのだ。
別に今のイチャイチャに満足していないというわけではない。
けれど、何か変えなければいけないという焦燥感に駆られるのだ。
今、目の前には萌恵奈がスヤスヤと寝息を立てて眠っている。
そして、俺は頭が回らないながらも、なんとか虚ろな目を開けて目を覚ましている状態。
気付かれないうちに、いつもとは違うことをしてみたいというちょっとした好奇心に駆られた。
俺はモソモソとゆっくり萌恵奈のほっそりとした肢体へと近づいていき……うっかり抱きついちゃった体を言い訳にして、萌恵奈の胸元へ顔を埋めてみた。
ふにゅんと膨らみを帯びた萌恵奈の柔らかい美乳が頬に当たり、萌恵奈の女の子の香りがふんわりと漂ってくる。
ヤバイ……衝動的にやってるけど、今の俺超変態だ。
しかし、萌恵奈は起きる様子もなく、スヤスヤと寝息を立てている。
も、もうちょっと大胆になってもいいかな……。
俺の自制心と冒険心の葛藤が頭の中でバトルする。
結果、冒険心の方が勝り、俺は萌恵奈の上着の裾を掴んで、ペロっと少し上に剥がした。
そして、目の前には萌恵奈のすべすべで真っ白なお腹が露になる。
俺は、ごくりと生唾を飲み込んで、徐々に顔をそのお腹へと近づけていく。
ピトっと頬を当てると、先ほどとは違うモチモチ感が覆う。
うわっ……やっぱり萌恵奈のお腹柔らかい!
そして、チロっと視線を上に向ければ、萌恵奈の身体をローアングルから見る形になる。真っ直ぐ伸びる肌色の線の先には、ピンク色のブラと先ほど顔を埋めた柔らかい乳房が膨らみを強調して誘い込むように呼吸の振動で微かに動いている。
俺は艶やかな萌恵奈の肢体に我慢の限界を迎えて、頭をずいっと服の中へと侵入させていく――
「捕まえた!」
ガバっと服の中で取り押さえられて、俺は思わずじたばたと身じろぎして抵抗するも、服の裾を掴まれて、完全に取り押さえられてしまった。
「私が寝てると思って、何えっちなことしてんのかなぁ?」
「ご、ごめんなさい! つい出来心で……!」
「もう……そんなに私の身体に顔押しつけたいなら、言ってくれればしてあげたのに」
「いやっ、だから……って、え?」
萌恵奈の取り押さえる力が緩み、俺はすぽっと服の中から抜け出して、思わずポカンと呆けた顔で萌恵奈を見つめる。
萌恵奈は妖艶な頬笑みを浮かべたまま、ニコっと口角を上げた。
「だ・か・ら、柊太がシたいこと。全部していいよってこと」
「い、いいの?」
「もちろん。彼氏なんだから、当然でしょ? 我慢しないで、私に欲望を発散して頂戴?」
誘い込むように誘惑してくる萌恵奈。
俺はもう耐えられなかった。
「萌恵奈!!」
「きゃっ! も、もう……んんっ……ちゅ……きゅ、きゅうなんだからぁ♡」
完全に理性の吹っ飛んだ俺は萌恵奈にのしかかり、強引に萌恵奈の唇を奪って熱い口づけを交わしていく。
萌恵奈と俺には、どうやらマンネリという言葉は存在しないのかもしれない。
これからも、自分の欲のまま思うまま邪な考えのまま、思ったことを口にすれば、萌恵奈は嫌がることなくすべて受け入れてくれる。そんな気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。