第20話
萌恵奈とイチャイチャWEB授業を終えて、お昼ご飯を作る。
その間も、萌恵奈は俺の後ろに引っ付くようにして離れようとしない。
正直、調理のスピードは落ちるけど、萌恵奈とこうして一緒にラブラブしながら料理できるだけでも幸せでいっぱいだった。
チラっと様子を窺えば、どちらからとでもなくキスを交わす。
俺が料理している時は、萌恵奈はちょっぴり甘えん坊さんで、フレンチキスではなくついばむようなトローリキスをご要望。
それにしっかりと答えつつ、ゆっくりと昼食を作っていく。
昼食が出来上がると、テーブルで隣り合わせになって食べる。
食べている間にもふと視線が合えばチュっとキスを交わす。
今はキスをしただけで萌恵奈の愛を感じて心が満たされる気持ちになるのだから、三年間キスをほとんどしてこなかったのを改めて後悔する。
昼食を食べ終えた後、萌恵奈は一度あのでかいリュックを背負って、隣の実家へと戻った。
小一時間ほどして、萌恵奈は何事もなかったようにリュックを背負い直して戻ってきた。
「何して来たんだ?」
「衣替え、そろそろ夏服にシフトチェンジした方が良いと思って」
「服を入れ替えてきたのか?」
「そうそう! もうタンスの中全部夏服に代わってたから、リュックの中に入ってた冬服全部バサァって洗濯籠に入れて新しいの持ってきた」
「衣替え、両親がしてくれるのか?」
「そうだよー」
いいなぁー。
俺なんて絶対自分でやらなきゃ、誰もやってくれる人なんていない。
西野家は、一人娘なだけあって、萌恵奈をめっぽう甘やかしているのだろう。
勝手に自動でタンスの中の服が衣替えされてるとか、天国かよ。
◇
萌恵奈が午後の授業を受けている間に、俺も自分の衣替えを済ませてしまうことにした。
自室の物置きから夏服の入ったプラスチック箱を取り出してふたを開けると、防虫剤の匂いがむわっと香ってきて、一瞬うっとなる。
タンスの中に入っている冬服を取り出して、夏服に入れ替えていく。
冬服は、綺麗に畳んだ状態で夏服が入っていたプラスチック箱の中へと詰め込んみ、防虫剤を入れてふたを閉め、元あった場所へ仕舞う。
「ふぅ……こんなものかな」
衣替えの作業を一通り衣替えを終えたところで、額に掻いた汗を手で拭う。
すると、コンコンと部屋のドアがノックされた。
「はい」
声をかけると、ガチャリとドアが開き、萌恵奈が顔を覗かせてきた。
「夜ご飯作るけど、何食べたい?」
萌恵奈に問われて、ふと部屋の掛け時計を見ると、時計の短針は6の数字を過ぎていて、夕食を作るいい時間帯になっていた。
「あぁ……もうそんな時間なんだ」
「何してたの?」
「衣替え」
「そっか、お疲れ様」
「おう……」
ねぎらいの言葉をかけつつ、萌恵奈は俺の方へと近づいてきて、そのまま流れるようにキスを交わす。
「どうする? ちょっと汗かいてるみたいだし、先にお風呂入る?」
額に汗を掻いている様子を見て、萌恵奈が首を傾げつつ尋ねてくる。
「いや、ご飯食べようよ。お腹空いたし」
「でも、作るまでに時間かかるよ? 私が作ってる間に入っちゃえば?」
「そ、それじゃあ……萌恵奈と一緒に風呂に入れない……」
「なっ……バカ……じゃあ一緒に入るから、お風呂入ってからご飯にしよ?」
俺と萌恵奈は、相変わらずの平常バカップル具合を見せ、今日も平和に一日を過ごすのであった。
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