第14話

 今日はGWの祭日としての最終日。

 大学が休講中の俺と萌恵奈にとっては、正直さほど変化のない家での生活において意味を成すわけではない。

 しかし、萌恵奈は明日からweb授業が開始される。

 少しは今までとの生活様式が変化してくるかもしれない。


 そんなGW最終日の今日。

 今俺は、なぜか部屋の中で背中を丸めて正座していた。

 前には、ゴゴゴゴゴっと音が響いてきそうなほどお怒りモードの萌恵奈が仁王立ちしている。

 そして、俺と萌恵奈の間の床には、俺のお宝グラビアコレクションがドサっと置かれていた。


「これは、どういうことかな?」

「どうもこうも……俺の趣味嗜好に基づいた女の子たちを集めたコレクションですが何か?」

「へ、へぇ……こんなおっぱいぷるんぷるんでお尻がぷりっとしててしなやかな脚見せつけてる。えっろぉーい格好した美少女たちを舐め回すような目でじっくり観察して、一人で発散してたんだ」

「し、仕方ねぇだろ。これは、男の性なんだよ。抗うにも抗えない、本能なんだ!」


 何故こんな状況になっているのか。

 朝、珍しくすっきりと目が覚めたので、何かしないともったいないという結論に至り、連休最終日ということもあって、これから始まる世の中の日常への意も込めて、急遽大掃除をすることになったことが始まり。

 そして、俺の部屋の物置きの中を俺が目を離しているすきに、萌恵奈が物色して俺のお宝コレクションを見つけ出した次第である。


 他の女の子で欲情して抜いていたのは、男としては理解してほしい。

 だが、ここ最近はずっと萌恵奈とイチャイチャしていたこともあり、嫉妬心が湧いてしまったらしい。

 でも俺からも言わせてくれ、三年間も色恋沙汰が無かったんだ。そりゃ、他の物で発散せざる負えないだろう。


「わかった。なら、そこで正座して待ってなさい」


 萌恵奈はふっとため息をついて俺の横を通り、部屋から出て行ってしまう。


「おい、どこ行くんだよ!?」

「ちょっと取ってくるだけ。まだお説教は終わってないんだからちゃんと待ってなさいよ」


 萌恵奈は俺に念を入れて注意して、バタンと部屋のドアを閉めてドスドスとした足取りで一階へと降りて行ってしまった。


 しばらく大人しく正座して待っていると、スタスタと軽やかな足どりで萌恵奈が階段を登ってきた。一間置いてから、部屋の扉がキィ……っと音をたてながら開かれる。


「おい、何やってたんだ……よっ!?」


 振り返りざま、思わず裏返った声を上げてしまう。

 それもそのはず、目の前に現れた萌恵奈は、ピンクの水玉模様があしらわれた白いビキニを身に着けて現れたのだから。


 恥じらうように身を捩り、少し頬を赤く染める萌恵奈。

 俺は口をぽかんと開けたまま呆けてしまう。

 というか、萌恵奈の華奢でスラっとしたスレンダーな身体にきめ細やかな白い肌が眩しくて見惚れてしまっていた。


「なっ、何か言いなそのさいよ……」


 俺の舐め回すような視線に耐えられなくなったのか、萌恵奈が感想を求めてくる。


「えぇっと……な、なにしてるの?」

「そう言うことを聞いてるんじゃ……。はぁ、何ってお説教に決まってるでしょ」

「いや、意味わからん」

「だから、たわわんむふふんな画像上の女の子より、私の水着でちゃんと満足しなさいってこと!」

「えぇ……」


 萌恵奈の言い分に、俺は思わず呆れ交じりの声を上げてしまう。


「何……? 私の身体毎日あんなに味わっておいて文句あるわけ?」

「そ、そんな滅相もない」


 俺が手を前でふりふり振って取り繕うと、萌恵奈はしゃがみこみ、そのまま四つん這いの体勢で艶めかしい視線を俺に向けてくる。


「確かに私、そこの女の子たちより胸もないし、肉付きも良くないかもしれないけど……柊太には、そんな女の子たちよりも……ず、ずっと私だけ見ててほしい」


 縋るような目で訴えてくる萌恵奈に、俺は思わず言葉を失う。

 雑誌上のグラビアアイドルほどではないが、四つん這いに張ればぷるんとたれるほどにはあるほど良い形の萌恵奈の胸の谷間。

 しなやかな脚も、俺はこの手で触った感触で覚えている。


 俺はごくりと生唾を飲みこんでから、コクリと頷いた。


「わ、わかった……ぜ、善処します」

「うん、よろしい」


 軽く笑みを浮かべてあっさりと許してくれる萌恵奈。

 その笑った表情が可愛らしくてたまらなかった。

 俺は正座を崩して、萌恵奈の方へと近づいていき、流れのままに唇を交わす。

 そして、萌恵奈の両肩に手を置き、萌恵奈を起き上がらせると、そのまま萌恵奈を力任せに押し倒すして半ば強引にキスをする。


「んんっ! チュ……ちょっとぉ……んっ……!」


 キスをしている間にも、俺は萌恵奈の背中に手を回して、萌恵奈の柔らかい身体を味わいつくす。


「ちょっと!? 反省する気あるの!?」

「反省してるから、今こうして萌恵奈の身体を味わいつくしてる」

「もうっ……バカ、上手いこといって……少しは空気読みなさいよ」

「だって、萌恵奈の身体……最高過ぎるんだもん」


 萌恵奈のお尻や太ももを撫でなわすように触りながら、俺は耳元で囁いた。


「ムッチムチでエローいグラドルより?」

「あぁ……」

「本当に? もし私とグラドルが並んでて両方触れる状況でも、私を選んでくれる?」

「当たり前だろ。俺は萌恵奈にしか興味はない」

「グラビア雑誌持ってた分際で何言ってるんだか……」

「それはだって……萌恵奈こういうことしたことなかったから。萌恵奈の身体の手触り覚えたから、もう萌恵奈でしか抜けない」

「……バカっ。じゃ、じゃあちゃんと、私が居なくても、私でちゃんと抜くのよ?」

「わかった。萌恵奈が恥じらって身悶えて嬌声な声出してるとき妄想しながら抜くよ」

「そ、そこまで妄想しなくても……写真とか動画くらいあげるわよ」

「えっ……それってまさか……ハメ撮」


 バチン!

 っと頬を叩かれる鈍い音が響く。


「イッテェ!」

「バ、バカじゃないの!? 私が自撮りした水着写真を送るって事! エッチしてるときの姿なんて撮っていいわけないじゃない変態!」

「でも俺、萌恵奈が身悶えて嬌声な声上げて感じてる姿見ないと興奮できないというか……」

「それ以上生々しく言わなくていいから! 柊太の性癖は分かったから、また今度の機会ね!」

「えっ……撮っていいの?」

「っ……! ちょっとだけだからね?」


 やった。

 試しに推して頼み込んでみるものだな。

 よっしゃぁ!! なんか燃えてきたぜ!


 俺がゲス笑いを浮かべて、頭の中でどういうシチュエーションを撮影しようかと期待に胸を膨らませて、変態妄想をしていると、現実に引き戻してくるように萌恵奈がキスをしてきた。


「ね、ねぇ……今は水着姿の目の前にいるんだから、ちゃんと私を可愛がって?」


 自身の画像のことより、今のイチャコラのおねだりくる萌恵奈。それがまた、可愛くて愛おしくてたまらない。


「萌恵奈っ!」

「んんっ……♡」


 こうして、今日も俺たちはイチャイチャしまくるのであった。

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