第11話

 う、うわぁ……ど、どうしよう!!!

 流れで柊太の身体洗ってあげるとか言っちゃたけど、どうしたらいいのか分からないよぉぉ!!!


 背中洗ってもらうのだって、凄いドキドキしたのに、今度は私が柊太の身体を洗ってあげるなんて……!


 とりあえず、落ち着くのよ私。

 こういう時は深呼吸よ深呼吸。


 私は柊太に気づかれないように、すーはーすーはーと軽く深呼吸をして気を落ち着かせる。


「はい、それじゃ、洗ってくよ」


 ぶっきらぼうな口調で、いかにも平静を装ったように告げる。


「お、おう……」


 一方で、緊張した面持ちで背中を丸める柊太。

 ふふっ、柊太緊張しちゃって可愛いなぁー。

 大体、こういうのは男の子の方が反応に出やすいので、柊太もドキドキしているのが目に見えてわかる。

 なんだか、柊太が可愛らしく思えてきて、私の中の緊張もほぐれてきた。


 よぉーっし!

 このままささっと柊太の身体を洗っちゃおう!


 私は意気込んで、柊太の背中にハンドタオルを当てて、勢いよくごしごしと洗っていく。

 うわぁ……柊太の背中、ごつごつしてて凄い!


 柊太はごりごり系の筋肉質な身体じゃないけど、やっぱり男の子って女の子と違って元からごつごつしていて、頼りがいがある感じがする。

 背中を丸めているにもかかわらず、柊太から感じる男の子の逞しさと包容力みたいなものに、私は胸がキュンっと締め付けられるような感覚になり、ドクンドクンと脈が勝手に高鳴る。


 ヤバイヤバイ、このまま柊太の背中に顔置いて、思いきり抱きつきたいよー!

 でも、落ち着くのよ私。

 今は誠心誠意込めて柊太の身体を洗うって決めたんだから……!

 私は衝動を必死に抑えつつ、うっとりと柊太の背中に見惚れながら洗っていった。



 ◇



 かれこれ萌恵奈に背中を洗われて一分くらい経過しただろうか。

 必死かつ丁寧に隅々までというか、洗いすぎなくらい背中を洗ってくれる萌恵奈。


 何も言わずに真剣な様子でゴシゴシしているので、声を掛けるのが憚られる。

 そして、ようやく萌恵奈はハンドタオルを背中に押し付けるのをやめた。


「つ、次は前ね……」


 ん? 今、なんつった!?


「いやいや、前は自分でやるからいいっての!」

「そう? 折角の機会だし、柊太を隅々まで綺麗にしてあげたいんだけど……」


 狙って行ってるのか天然で言ってるのかどっちなのか分からない。


「とにかく、タオル貸せ! 後は自分でやるから、先に湯船浸かってろ!」

「う、うん……柊太がそこまで言うならそうするよ」


 萌恵奈は俺にハンドタオルを手渡して、まだ半分ほどしか溜まっていない湯船の中へと入っていく。

 ふ、ふぅ……萌恵奈が素直で助かった。

 今の前の状態を見られていたら、どうなるか分かったものじゃない。


 俺も急いで背中以外の身体を洗って、シャワーで石鹸を洗い落とす。

 シャワーを止めたところで、俺はハンドタオルで下腹部を手で隠した。

 萌恵奈の方を見れば、こちらの様子を窺うようにして、湯船の中で体育座りをしている。


「……入るぞ」

「あっ……うん」


 俺は萌恵奈の後ろに回り込むように湯船の中へ浸かる。

 二人入ると、湯船は丁度良い高さまで浸かれるようになっていた。


 俺が足を広げて、その間に萌恵奈が身体を縮こませてすっぽり入り込む。


「もっと、楽な体勢すれば?」

「へ!? あっ、う、うん……」


 萌恵奈は俺に言われてようやく気が付いたように脚を伸ばして、俺に背中を預けるような体勢で湯船につかった。


「……ふぅ」


 湯船に浸かり、萌恵奈は一息つくと、コテンと身体の力を抜いて、背中ごと俺に預けるようにピトっとくっつけてきた。

 そして、くるっと顔だけこちらへ向けて、にこっと笑みを浮かべる。


 俺も微笑みを返して、自然とお互い顔を近づけてキスを交わす。

 眼前には、萌恵奈の真っ白なきめ細やかな肌。

 ほのかにシャンプーの匂いが香る艶やかな髪。

 細くて長い首筋に、綺麗な鎖骨。

 どれもこれもが美しくて、見ているだけでムラっと来てしまう。


 ハンドタオルは既に外した下腹部は反り上がり、自己主張を増して、萌恵奈のお尻と背中にかけて当たっている。

 萌恵奈の肌に触れるだけで、気持ちがいい。


 再び萌恵奈がくるっとこちらへ顔を向ける。

 きょとんと首を傾げつつ、俺の様子を窺っていた。


「な、何?」


 尋ねると、萌恵奈はニコっと破顔する。


「ふふっ。なんでもなーい」


 嬉しそうに意味ありげなことを言って、唇を近づけてくる萌恵奈。

 俺もそれに応えて、優しくキスを交わす。

 しかし、萌恵奈は物足りないらしく、ちゅうぅぅっと唇を更に押しつけてくる。


 察した俺は、チュパチュパとついばむようなキスを始める。

 そこから、次第にキスはヒートアップしていき、気が付けばお互いに貪り合うようにキスを交わしていた。


「柊太ぁー……」


 トロンとした瞳を向けて、さらにキスをねだるよに首に片腕を回してくる萌恵奈。

 キスの余韻のせいなのか、湯船に浸かりすぎてのぼせたのか、頭がぼおっとしてきてしまう。

 よって、俺の思考能力も低下して、気が付けば俺のいきり立ったマグナムを、萌恵奈の背中に擦りつけていた。


 ちゅぅぅぅぅっと吸いつくようなキスを思い切りして、ようやく萌恵奈の唇から離す。

 緩み切った萌恵奈の顔は、上気して赤らんでいた。

 それがさらに俺の理性を崩壊の道へと助長して、俺はさらに擦りつけるスピードを速める。


 ようやく萌恵奈も気になりだしたのか、身を捩る。


「こぉーら」


 軽く窘めてくるものの、身体を離す気配は全くない。


「ダメか?」


 俺が萌恵奈の耳元で囁くと、萌恵奈は軽く嬌声な声を上げる。


「んっ、バカぁ……アッ……♡」


 萌恵奈の悶える声が、俺の沸点を超える足掛かりとなった。

 俺は両腕を萌恵奈の身体に回して、抱きつくようにして萌恵奈の胸を鷲掴みにする。

 そして、もう一度半ば強制的に萌恵奈の唇を奪い、最初から激しく唇を貪って、カチカチの下腹部を擦りつける。


 萌恵奈も全く抵抗を見せる気配はない。


 こうして、俺と萌恵奈のイチャイチャトレーニングレッスンは、新たな新境地を開拓しつつ、今日も一段とヒートアップしていくのであった。

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